仕事では、
「こうではないか」
という仮説を持っていても、
それを、どう確かめればよいのか分からない
ことがあります。
たとえば、
会議が長くなるのは、
議題が多いからではないか。
問い合わせ対応に時間がかかるのは、
特定の種類の問い合わせが増えたからではないか。
作業時間に差が出るのは、
確認工程が多い案件だからではないか。
そんな仮説を置いたとしても、
それだけでは答えは出ません。
必要なのは、
その仮説を確かめるために、何を分け、何と比べるかを考えることです。
これが、
分析の大切な役割です。
分析というと、
数字を細かく見ることや、
大量のデータを扱うことを思い浮かべるかもしれません。
でも、
基本はもっとシンプルです。
仮説を確かめるために、分けて、比べて、違いを見る。
そのとき、
どんな切り口で分けるのか。
何と何を比べるのか。
どの情報を見ればよいのか。
ここで迷うことがあります。
そこで役立つのがAIです。
AIに、
「原因は何?」
と答えを求めるのではなく、
「この仮説を確かめるには、どんな分析をすればよい?」
と問いかける。
すると、
自分では思いつかなかった、
分け方や比べ方、
見るべき情報の候補が出てくることがあります。
AIに分析を任せるのではなく、
分析のやり方を広げる相手として使う。
この記事では、
仮説を置く → AIで分析方法を広げる → 現実の情報で確かめる
という流れで、
AIを使いながら分析力を広げる方法を考えていきます。
分析そのものの基本については、
以下の記事で、「分ける → 比べる → 違いを見る」という流れを整理しています。

分析では「何を比べるか」を決める

仮説を立てても、
それだけでは、
正しいかどうかは分かりません。
大切なのは、
その仮説を確かめるために、何を比べればよいかを考えることです。
たとえば、
「会議が長くなるのは、議題が多いからではないか」
という仮説を置いたとします。
この仮説を確かめるなら、
単に会議時間を見るだけでは足りません。
議題数が多い会議と、
少ない会議に分ける。
それぞれの会議時間を比べる。
必要なら、
参加人数や会議の種類など、
ほかの条件も見てみる。
そうすることで、
本当に議題数と会議時間に関係がありそうなのかを確かめられます。
分析では、
情報を細かくすることより、
仮説に合った分け方と比べ方を選ぶこと
が大切です。
同じデータでも、
何を知りたいかによって、
見る切り口は変わります。
だから、
分析するときは、
「この仮説を確かめるには、何を分けて、何と比べればよいだろう」
と考えます。
そして、
この分析方法を考えるところで、
AIが使えます。
AIは分析方法を広げる相手
仮説を確かめるとき、
自分なりに、
「こう分ければよさそう」
「この2つを比べればよさそう」
と考えます。
でも、
自分一人では、
いつも似たような分析方法になってしまうことがあります。
たとえば、
「会議が長くなるのは、議題が多いからではないか」
という仮説があるとします。
そこでAIに、
「この仮説を確かめるには、どんな分け方や比較をすればよいですか」
と聞いてみます。
すると、
たとえば、
- 議題数ごとに会議時間を比べる
- 議題数が多い会議と少ない会議に分ける
- 同じ参加人数の会議同士で比べる
- 情報共有中心の会議と意思決定中心の会議を分ける
- 同じ種類の会議で議題数の違いを見る
といった方法が出てくるかもしれません。
ここで大切なのは、
AIに分析結果を出してもらうことではありません。
仮説を確かめるための分析方法を増やすことです。
自分では、
単純に「議題数と会議時間を比べる」ことしか思いつかなかった。
でも、
AIから別の見方が出ることで、
「条件をそろえて比べた方がよいかもしれない」
と気づくことがあります。
その中から、
現場で確かめやすく、
意味がありそうな方法を選びます。
AIで分析力を広げる3ステップ

AIを分析に使うときは、
最初から、
「このデータを分析して」
と任せる必要はありません。
まず、
何を確かめたいのかを決める。
次に、
その仮説を確かめるための分析方法をAIで広げる。
そして最後は、
実際の数字や記録で確かめる。
流れは、
仮説を置く → AIで分析方法を広げる → 現実で確かめる
の3ステップです。
1.まず、何を確かめたいのかを決める
最初にやるのは、
分析方法を考えることではありません。
まず、
「何を確かめたいのか」
をはっきりさせます。
たとえば、
最近、
会議が予定より長くなることが増えたとします。
そこで、
「会議が長くなるのは、議題が多いからではないか」
と仮説を置く。
この仮説があることで、
分析の目的が決まります。
「会議について何となく調べる」のではなく、
議題数と会議時間の関係を確かめる
という方向が見えてきます。
ここで大切なのは、
最初から正しい仮説を当てることではありません。
分析は、
仮説が合っているかどうかを確かめるために行います。
違っていれば、
別の仮説を考えればよい。
まずは、
何を知りたいのかを一つ決める。
そこが分析の入口です。
何を確かめるかを決めるには、
まず「こうではないか」という仮説を置く必要があります。
仮説を立てて小さく確かめる考え方は、以下の記事でも紹介しています。

2.AIで「どう分析するか」を広げる
次に、
その仮説をAIに伝えます。
たとえば、
会議が長くなるのは、議題が多いからではないかと考えています。
この仮説を確かめるには、どんな分析をすればよいですか。
と聞いてみます。
すると、
たとえば、
- 議題数ごとに会議時間を比べる
- 議題数が多い会議と少ない会議に分ける
- 同じ参加人数の会議だけで比べる
- 同じ種類の会議で比較する
- 情報共有中心か、意思決定中心かを分けて見る
といった方法が出てくるかもしれません。
ここで重要なのは、
単に分析方法の数を増やすことではありません。
「どう比べれば、仮説を確かめやすくなるか」
という見方を増やすことです。
たとえば、
単純に議題数と会議時間を比べるだけでは、
参加人数の違いが影響しているかもしれません。
そこで、
「同じくらいの参加人数の会議同士で比べる」
という方法を入れると、
議題数の影響をもう少し見やすくなります。
AIには、
さらに、
- 何に分ければよいか
- 何と何を比べればよいか
- 条件をそろえた方がよいものはあるか
- どんな情報が必要か
と聞くこともできます。
AIに求めるのは、
分析結果ではありません。
仮説を確かめるための分析設計を広げること。
その中から、
実際に使えそうな方法を選びます。
3.現実の情報で確かめ、結果を読む
分析方法を決めたら、
最後は、
実際の数字や記録に戻ります。
たとえば、
「同じ種類の会議で、議題数が多い場合と少ない場合を比べる」
という方法を選んだとします。
最近の会議記録から、
議題数と会議時間を並べてみる。
そこで、
議題数が多い会議ほど、
本当に時間が長くなっているのかを見ます。
ただし、
ここで差が見えたからといって、
すぐに、
「原因は議題数だ」
と決める必要はありません。
ほかの条件が影響していないか。
一部の会議だけが大きく長引いていないか。
比較した件数が少なすぎないか。
少し立ち止まって、
結果の見方も確かめます。
分析は、
数字に差が出たら終わりではありません。
その差が、仮説をどこまで支えているのかを見ること
までが大切です。
もし仮説と合わなければ、
別の分析方法を試す。
あるいは、
仮説そのものを見直す。
そうやって、
少しずつ現実に近づいていきます。
何を確かめたいかを決める。
AIで分析方法を広げる。
現実で比べ、結果を読む。
この3ステップなら、
AIに分析を丸投げせず、
自分で考える部分を残しながら、
分析の幅を広げることができます。
分析の前提になるのは、
実際に何が起きているのかを事実として捉えることです。
その入口になるのが観察力です。

事例|作業時間に差が出る理由を分析する

もう一つ、
日常の仕事に近い場面で考えてみます。
たとえば、
同じような作業なのに、
早く終わる案件と、
時間がかかる案件があるとします。
そこで、
「他部署への確認がある案件ほど、作業時間が長くなるのではないか」
という仮説を置いたとします。
自分では、
「確認がある案件と、ない案件の作業時間を比べればよい」
と考えるかもしれません。
そこでAIに、
他部署への確認がある案件ほど、作業時間が長いのではないかと考えています。
この仮説を確かめるには、どんな分け方や比較をすればよいですか。
と聞いてみます。
すると、
たとえば、
- 確認がある案件と、ない案件で作業時間を比べる
- 確認回数ごとに作業時間を見る
- 通常案件と例外案件を分けて比べる
- 同じ種類の案件だけで比較する
- 実作業時間と確認待ち時間を分けて見る
といった方法が出てくるかもしれません。
そこで、
「実作業時間と確認待ち時間を分けて見る」
という方法を選んだとします。
実際の案件を見てみると、
作業そのものにかかる時間は、
それほど変わっていない。
一方で、
時間がかかっている案件では、
確認の返事を待つ時間が長い。
そんな違いが見えるかもしれません。
すると、
問題の見え方が変わります。
単に、
「作業をもっと速くする」
のではなく、
- どんなときに確認が必要になるのか
- よくある確認内容を事前に共有できないか
- 判断基準を決めておけないか
と考えた方が、
改善につながりやすくなります。
同じ仮説でも、
何を分け、何と比べるかによって、見えてくるものは変わる。
ここに、
AIで分析方法を広げる価値があります。
AIにデータを渡して分析してもらう方法もある
もちろん、
実際のデータをAIに渡して、
集計や比較、
傾向の整理をしてもらう使い方もあります。
データ量が多い場合などは、
人が一つずつ見るより、
早く分析できることもあります。
ただ、
今回考えているのは、
その前の段階です。
何を確かめたいのか。
そのために、何を分け、何と比べるのか。
この分析の設計を、
AIとの対話で広げていく。
分析作業そのものをAIに任せる場合でも、
その前に、
「何をどう見るのか」
が決まっている方が、
結果を意味のある形で受け取りやすくなります。
分析によって違いが見えたあと、
「なぜ、その違いが生まれているのか」を工程や関係のつながりで見ていくと、
次は構造把握につながります。

AIが出した分析方法を、そのまま使わない
AIに分析方法を聞くと、
いくつもの候補が出てきます。
でも、
そのすべてが、
実際の仕事に合っているとは限りません。
細かく分けすぎると、
比較できるデータが少なくなることがあります。
必要な情報が、
そもそも記録されていないこともあります。
だから、
AIから方法が出てきたら、
- 必要な情報があるか
- 実際に比べられるか
- 仮説を確かめるのに役立つか
- 手間が大きすぎないか
を見ながら、
一つか二つに絞ります。
AIは、
分析方法の候補を増やすことは得意です。
でも、
どの方法を使うかを決めるのは、人間の役割です。
何を知りたいのか。
現場で何が確かめられるのか。
そこを考えながら、
分析方法を選びます。
AIを「答えを出す道具」ではなく、
「考える相手」として使う全体像については、以下の記事で整理しています。

まとめ|AIは分析の設計を広げる相手
分析では、
まず、
「何を確かめたいのか」
を決めます。
そして、
その仮説を確かめるために、
何を分けるのか。
何と何を比べるのか。
どの情報を見るのか。
を考えます。
AIは、
この**「どう分析するか」**を広げる相手として使えます。
自分では思いつかなかった方法を出してもらい、
その中から、
実際に使えそうなものを選ぶ。
そして、
現実の数字や記録で確かめる。
AIに分析そのものを任せることもできます。
それでも、
その前に、
「何をどう見るのか」を考える力
は必要です。
AIを、
答えを出す相手だけではなく、
分析の設計を一緒に考える相手
として使う。
そうすることで、
考える主導権を自分に残したまま、
分析の幅を広げていけます。

