考えを深める方法|最初の答えで止まらない5つのステップ

考えを深める方法|最初の答えで止まらない5つのステップ

問題が見つかると、すぐに対策を考えたくなります。

「会議が多い」
なら、会議を減らす。

「ミスが多い」
なら、チェックを増やす。

「仕事に時間がかかる」
なら、効率化する。

仕事では、こうした場面を何度も見てきました。

けれど、長く業務改革に関わる中で感じたのは、

最初に見えた問題が、そのまま本当に考えるべき問題とは限らない

ということです。

たとえば、

「会議が多いから仕事が進まない」

と思っていたとしても、少し掘り下げてみると、

会議そのものではなく、

「自分で考える時間が取れないこと」

が一番の問題なのかもしれません。

「ミスが多い」

という問題も、

チェックが足りないのではなく、

そもそもミスが起きやすい仕事の流れになっている可能性があります。

見えている問題をそのままひっくり返して対策にすると、

本当に変えるべきところを見落としてしまうことがあります。

だから私は、

答えが一つ見つかったところで、すぐに考えるのを止めないことが大切だと思っています。

「ほかには?」

「なぜ、そうなるのだろう?」

「何が影響しているのだろう?」

と、もう一段考えてみる。

すると、一つだった答えがいくつかの枝に分かれ、

その枝をたどるうちに、

最初には見えていなかったことが少しずつ見えてきます。

考えを深めるとは、

一つの答えを一直線に掘り続けることではありません。

答えを広げ、気になるところを掘り下げ、全体を見渡したうえで、「つまり何が引っかかっているのか」を言葉にすることです。

この記事では、

最初の答えで止まらず、

自分の考えを一段ずつ深めていく5つのステップを紹介します。

目次

考えを深めるとは、最初の答えで止まらないこと

考えを深めるとは、最初の答えで止まらないこと

考えを深めるというと、

一つのことを、どこまでも掘り下げていくイメージがあるかもしれません。

けれど、実際の思考は一本の線のようには進みません。

たとえば、

「最近、仕事がしんどいのはなぜだろう?」

と考えたとします。

最初に、

「会議が多いから」

という答えが浮かんだ。

そこで、

「会議を減らせばいい」

と結論を出すこともできます。

でも、

「ほかには?」

と考えてみると、

  • 急な依頼が多い
  • 判断することが多い
  • 自分で考える時間が少ない
  • やりたい仕事に集中できない

と、別の答えも出てくるかもしれません。

一つの問いに対して、答えは一つとは限りません。

一つの問いから複数の答えが枝分かれし、その枝をさらに掘っていく。

考えは、そんなふうに深まっていきます。

一本の道を下へ進むというより、

木の枝が分かれていくようなイメージです。

その中で気になる枝があれば、

「なぜ、それが問題なのだろう?」

「何が影響しているのだろう?」

と、さらに一段掘ってみる。

ここで大切なのは、

答えをたくさん出すことでも、

どこまでも深く掘ることでもありません。

広げながら、必要なところを掘ること。

そして最後に、

「つまり、自分は何に引っかかっているのだろう?」

と全体を見直します。

この記事では、この流れを、

答える
→ 広げる
→ 掘る
→ 見渡す
→ まとめる

という5つのステップで考えていきます。


そもそも何を問いにすればよいか分からない場合は、
まず考える方向を決める「良い問い」から始めると考えやすくなります。

なぜ最初の答えで止まってしまうのか

頭では、

もう少し考えた方がよいと分かっていても、

実際には最初の答えで止まってしまうことがあります。

1.最初の答えは分かりやすい

たとえば、

「最近、仕事が進まない」

と感じたときに、

「会議が多いから」

という答えが出る。

原因らしいものが一つ見えると、

それだけで少し納得した気持ちになります。

すると、

「では、会議を減らせばいい」

と次へ進みたくなる。

でも、

答えが出たことと、

十分に考えたことは同じではありません。

最初の答えは、

まだ表面に見えている現象かもしれないからです。

2.問題が見えると、すぐ対策を考えたくなる

私は長く業務改革の仕事をしてきました。

その中でよく見たのが、

問題を見つけると、その言葉をそのままひっくり返して対策にする

という考え方です。

「会議が多い」

なら、

「会議を減らそう」。

「ミスが多い」

なら、

「チェックを増やそう」。

「時間がかかる」

なら、

「もっと速くしよう」。

もちろん、それで解決することもあります。

ただ、

問題の言葉を反対にしただけでは、

なぜそうなっているのかまでは分かりません。

会議が多いことではなく、

何を決めるかが曖昧だから時間がかかっているのかもしれない。

ミスが多いのではなく、

そもそも間違いやすい手順になっているのかもしれない。

だからこそ、

対策を考える前に、問題の見え方をもう一段確かめること

が必要になります。

3.原因を一つに決めると安心する

「これが原因だ」

と決めれば、

次に何をすればよいかも決めやすくなります。

けれど、現実の問題は、

一つの原因だけで起きているとは限りません。

人。

仕組み。

情報。

時間。

環境。

いくつかの要素が重なっていることもあります。

だから、

最初に見つけた答えだけを掘る前に、

一度、

「ほかには?」

と広げてみる。

そのひと手間が、

思い込みを減らし、

考える視点を増やしてくれます。

考えを深める5つのステップ

考えを深める5つのステップ

では、

実際にどう考えを深めていけばよいのでしょうか。

最初から深い答えを出す必要はありません。

大切なのは、

最初に浮かんだ答えを、そのまま結論にしないことです。

1.まず最初の答えを出す

最初は、

思いついたことをそのまま書きます。

たとえば、

「最近、仕事がしんどいのはなぜだろう?」

と考えたとします。

最初に、

「会議が多いから」

と浮かんだ。

まずは、それで構いません。

最初の答えは、

次に考えるための入口です。

「これが原因だ」

と決めるのではなく、

「今は、こう見えている」

くらいに置いておきます。

2.「ほかには?」で答えを広げる

次に、

最初の答えだけを掘らず、

「ほかには?」

と考えます。

すると、

仕事がしんどい理由として、

  • 会議が多い
  • 急な依頼が多い
  • 判断することが多い
  • 自分で考える時間が少ない
  • やりたい仕事に集中できない

と、いくつかの答えが出てくるかもしれません。

ここで一度、

1対1ではなく、1対多に広げる。

そうすると、

最初の思いつきだけに引っ張られにくくなります。

一つの問いからいくつかの枝を出し、

その中から見る場所を選ぶ。

それが、

考えを深める前の大切な準備になります。


いくつかの答えが出ても、まだ一つの塊に見えて整理しにくいことがあります。

そんなときは、
「何に分けられるか」「何と比べれば違いが見えるか」と考えると、次に見る場所を絞りやすくなります。

3.気になる枝を一段ずつ掘る

いくつかの答えが出たら、

その中で、

「今、一番気になるのはどれだろう?」

と考えます。

たとえば、

「自分で考える時間が少ない」

が気になったとします。

そこで、

「なぜ、それが問題なのだろう?」

と聞いてみる。

すると、

「やりたい仕事に集中できないから」

と出てくるかもしれません。

さらに、

「なぜ、それが自分にとって大事なのだろう?」

と考えると、

「考えて形にする仕事に、やりがいを感じるから」

と見えてくることがあります。

毎回「なぜ?」だけを使う必要はありません。

  • 何が問題なのだろう?
  • 何が影響しているのだろう?
  • それによって何が起きている?
  • なぜ自分には重要なのだろう?
  • その奥には何があるだろう?

と問いを変えても構いません。

ポイントは、

出てきた答えを、次の問いの材料にすることです。

4.枝全体を見渡す

一つの枝を掘ったら、

もう一度、全体へ戻ります。

たとえば、

  • 会議が多い
  • 急な依頼が多い
  • 判断することが多い
  • 自分で考える時間が少ない
  • やりたい仕事に集中できない

という答えを見て、

「これらに共通していることは何だろう?」

と考えてみます。

すると、

「自分で時間をコントロールできていない」

という見方が出てくるかもしれません。

あるいは、

「自分で考えるより、外から来ることへの対応に時間を使っている」

と見えるかもしれません。

枝を広げると、

視点が増えます。

その枝同士を見比べると、

共通点や関係も見えてきます。

だから、

掘るだけでなく、ときどき全体へ戻る。

この往復が大切です。

5.「つまり何が引っかかっている?」とまとめる

最後に、

広げたり掘ったりした考えを、

一度、言葉にまとめます。

そこで使いたいのが、

「つまり、自分は何に引っかかっているのだろう?」

という問いです。

最初は、

「会議が多いから仕事がしんどい」

と思っていた。

でも、

考えていくと、

「自分で考え、つくる時間を持てていないことが、一番気になっている」

と見えてくるかもしれません。

最初と最後では、

問題の見え方が少し変わっています。

ただし、

「これが絶対の原因だ」

と決める必要はありません。

「今のところ、ここが一番引っかかっているようだ」

くらいで十分です。

考えを深める目的は、

正解を一つ当てることではありません。

見える範囲を広げながら、

自分が本当に考えたかった場所を見つけることです。


考えを掘り下げて「ここが引っかかっていそうだ」と見えてきたら、次は、

「つまり、何が本質なのだろう?」

と考えてみることもできます。

見えている現象の奥にある、本当に変えるべき場所を考える方法は、こちらの記事で紹介しています。

深く考えるときの3つの注意点

深く考えるときの3つの注意点

考えを深めることは大切ですが、

深く考えれば考えるほどよい、

というわけではありません。

1.「なぜ」で自分を責めない

「なぜ?」

は、考えを深めるために使いやすい問いです。

ただ、

「なぜ自分は続けられないのだろう?」

「なぜ、こんなこともできないのだろう?」

と繰り返していると、

原因を考えるより、

自分を責める方向へ進むことがあります。

そんなときは、

「何が影響しているのだろう?」

「どんな条件が重なっているのだろう?」

「どこで止まりやすいのだろう?」

と問いを変えてみます。

「なぜ」は、

自分を追い込むためではなく、

見えていない背景を探すために使うものです。

2.一つの枝だけを正解にしない

一つの枝を深く掘っていくと、

そこが一番大切に見えてきます。

でも、

ほかの枝も関係している可能性があります。

だから、

一つの枝を掘ったら、

一度全体へ戻る。

掘る → 見渡す。

この往復を忘れないことです。

深く考えることと、

一つの答えに決めつけることは違います。

3.深く掘ること自体を目的にしない

「なぜ?」

「さらに、その理由は?」

と考え続ければ、

いくらでも掘ることはできます。

でも、

深く掘ることそのものが目的ではありません。

大切なのは、

今まで見えていなかったことが見えてきたかどうか

です。

最初は、

「会議が多いこと」

が問題だと思っていた。

考えていくうちに、

「自分で考える時間を持てていないこと」

が気になっていると分かった。

そこまで見えたなら、

一度止めても構いません。

必要なら、

そこから前提を見直す。

仮説を置く。

判断する。

小さく試す。

次の思考へ進めばよいのです。

考え続けるのではなく、

問題の見え方が変わるところまで考える。

そのくらいが、

日常ではちょうどよいと思います。


何度掘っても同じ答えに戻ってしまうときは、
答えではなく、考えるときの土台が固定されているのかもしれません。

そんなときは、

「自分は何を当然としているのだろう?」と前提そのものを見直すと、
別の方向へ思考が動くことがあります。

仕事・習慣・日常で考えを深めてみる

考えを深める方法は、

仕事だけでなく、

習慣や日常の小さな違和感にも使えます。

仕事で考える

「会議が多くて疲れる」

と感じたとします。

「ほかには?」

と考えると、

  • 会議の準備に時間がかかる
  • 会議後の対応が増える
  • 自分の仕事が途中で止まる
  • 一人で考える時間がなくなる

と枝が出てきます。

その中で、

「一人で考える時間がなくなる」

が気になった。

さらに掘ると、

「本当にやりたい仕事に集中できない」

と見えてくる。

最後にまとめると、

会議の多さより、自分で考える時間を持てていないこと

が引っかかっていたと分かります。

習慣で考える

「運動が続かない」

という場合。

最初は、

「意志が弱いから」

と思うかもしれません。

でも、

「ほかには?」

と考えると、

  • 予定を決めていない
  • 運動する時間が長すぎる
  • 着替えるのが面倒
  • 疲れてから始めようとしている

と、別の理由も出てきます。

「着替えるのが面倒」

という枝を掘ると、

「運動を始めるまでの準備が多い」

と見えてくる。

さらに、

「30分しっかり運動しなければ意味がない」

と思っていたことに気づくかもしれません。

すると、

「運動が続かない」

から、

運動を始めるまでのハードルを高くしている

へ、問題の見え方が変わります。

日常の違和感を考える

「あの人に言われた一言が、なぜか気になる」

という場合も同じです。

最初は、

「言い方が嫌だったから」

と思う。

でも、

「ほかには?」

と考えると、

  • 否定されたように感じた
  • 自分のやり方を認めてもらえなかった
  • 自分でも少し迷っていた
  • 気にしている部分を言われた

と枝が出てくる。

その中で、

「自分でも少し迷っていた」

が気になったら、

「何に迷っているのだろう?」

と掘ってみます。

すると、

相手の言葉そのものより、

自分の中にあった迷いが反応した

と見えてくるかもしれません。

1分ワーク|今気になっていることを一つ掘ってみる

今、

少し気になっていることを一つ書いてみてください。

仕事でも、

習慣でも、

日常の小さな違和感でも構いません。

次の順番で考えます。

  1. 最初に浮かぶ答えを書く
  2. 「ほかには?」でもう2〜3個出す
  3. 一番気になる枝を一つ選ぶ
  4. その答えに2〜3回問いを重ねる
  5. もう一度、枝全体を見る
  6. 「つまり、自分は何に引っかかっている?」と書く

答えは、

一言でも、

箇条書きでも構いません。

大切なのは、

きれいにまとめることではありません。

最初に見えていた問題と、考えた後に見えている問題がどう変わったか

を確かめることです。

その違いが見えれば、

考えは一段深くなっています。


考えを深めて「ここが大きく影響していそうだ」と見えても、それが正しいとは限りません。

そこで、いったん仮の答えとして置き、
実際に確かめていくと、思いつきを決めつけずに次へ進めます。

まとめ|最初の答えで止まらず、もう一段だけ考える

問題が見つかると、

私たちはすぐに対策を考えたくなります。

でも、

最初に見えた問題が、

そのまま本当に考えるべき問題とは限りません。

まず答える。

「ほかには?」

と広げる。

気になる枝を掘る。

全体を見渡す。

そして最後に、

「つまり、自分は何に引っかかっているのだろう?」

とまとめる。

考えを深めるとは、

難しいことを考えることでも、

どこまでも掘り続けることでもありません。

最初の答えを結論にせず、もう一段だけ奥を見てみること。

そのひと手間で、

問題の見え方が変わることがあります。

見えている問題をそのままひっくり返して対策にする前に、

まず、

「ほかには?」

と問いを足してみる。

そこから、

最初には見えていなかった枝が見つかるかもしれません。

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