仕事でも、日常でも、
「これは自分の問題ではない」
「誰かが決めることだ」
「自分にはどうしようもない」
と思うことがあります。
もちろん、本当に自分では変えられないこともあります。
会社全体の方針や、相手の考え方、社会の大きな流れまで、自分一人で変えることはできません。
ただ、そこで思考まで止めてしまうと、できることまで見えなくなります。
一方で、何でも「自分の責任だ」と抱え込めばいいわけでもありません。
私が考える当事者意識は、そのどちらとも少し違います。
「この状況の中で、自分はどう関わるのか」
と考えることです。
会社員時代、私は長く業務改革やプロジェクトの仕事に関わってきました。
問題が起きたときに、
「誰の責任なのか」
「どの部署の問題なのか」
だけを考えていても、仕事はなかなか前へ進みません。
それよりも、
「今の自分の立場から、何ができるだろう」
と考えたときに、次の一手が見えてくることが何度もありました。
当事者意識とは、すべてを自分の責任にすることではありません。
自分の立ち位置から、できることを考えること。
この記事では、
当事者意識を「責任感」や精神論としてではなく、自分の行動につなげるための考え方として整理してみます。
当事者意識とは「責任を背負うこと」ではない

「当事者意識を持つ」と聞くと、
「もっと責任を持たなければいけない」
「自分が全部引き受けなければいけない」
というイメージを持つ人もいるかもしれません。
でも、私は少し違うものだと考えています。
当事者意識と責任感は少し違う
責任感は、任されたことをきちんと果たそうとする姿勢です。
仕事であれば、
「自分の担当だから最後までやる」
「約束したことは守る」
といった行動につながります。
もちろん、とても大切な姿勢です。
一方で、当事者意識は、もう少し手前にあります。
「この状況に対して、自分はどう関わるのか」
と考えることです。
たとえば、職場で何か問題が起きたとします。
自分の担当ではなければ、
「それは別の部署の問題です」
と言うこともできます。
実際、それで間違っていない場合もあります。
ただ、
「自分から見えていることはないか」
「一言伝えた方がいいことはないか」
「少し手を貸せることはないか」
と考えることもできます。
ここに、当事者意識があります。
自分が中心になることではない
当事者意識を持つというと、
何でも自分から前に出ることだと思われることもあります。
でも、それも少し違います。
自分が中心になる必要はありません。
すべてを自分で解決する必要もありません。
大切なのは、
自分の立ち位置を見つけることです。
その問題に対して、
自分はどこにいるのか。
何が見えているのか。
どこまでなら関われるのか。
そこを考える。
私は、当事者意識とは、
問題の中心に立つことではなく、自分の立ち位置から考えること
なのだと思っています。
当事者意識が薄れると、問題が「自分の外側」に置かれる
当事者意識が弱くなると、
問題そのものよりも、
「これは自分の問題ではない」
という見方が先に立つようになります。
すると、考える範囲も狭くなります。
1.自分には変えられないと思う
たとえば、
「会社が変わらない」
「上司が変わらない」
「環境が悪い」
と思うことがあります。
実際、自分では変えられないことも多いでしょう。
ただ、
「全部は変えられない」ことと、「何もできない」ことは同じではありません。
会社全体は変えられなくても、自分の仕事の進め方は変えられるかもしれません。
上司の考え方は変えられなくても、伝え方は工夫できるかもしれません。
当事者意識は、大きな問題を全部動かそうとすることではなく、
自分が動かせる範囲を探すこと
から始まります。
2.正解を誰かに求める
自分で考えるより、
誰かの指示を待つ方が楽なこともあります。
「どうすればいいですか」
「正解は何ですか」
「誰か決めてください」
という姿勢になれば、自分で判断する必要はありません。
ただ、それが続くと、
自分で考える範囲は少しずつ小さくなります。
当事者意識を持つということは、
正解を全部自分で出すことではありません。
わからなければ、人に聞いてもいい。
相談してもいい。
そのうえで、
「では、自分はどう考えるのか」
を残しておくことです。
3.失敗の責任を避けたくなる
自分で決めれば、うまくいかなかったときに責任も生まれます。
だから、
「自分が決めたわけではない」
「言われた通りにやっただけだ」
という位置にいたくなることもあります。
ただ、失敗を避けるために自分で考えなくなると、
行動そのものも小さくなっていきます。
必要なのは、大胆に決めることではありません。
小さく考え、小さく決め、小さく試してみること。
その積み重ねによって、
「自分にも動かせる部分がある」
という感覚が少しずつ育っていきます。
当事者意識を持つための3つの問い

では、当事者意識を持つには、どう考えればいいのでしょうか。
私は、問題にぶつかったときに、次の3つを考えると整理しやすいと思っています。
1.自分に関係する部分はどこか?
最初から問題全体を背負う必要はありません。
まずは、
「この問題と、自分はどこでつながっているか」
を見ます。
たとえば、
「この会社は変わらない」
と思ったとします。
会社全体を変えるのは難しいかもしれません。
でも、
- 自分の仕事の進め方
- 周囲への伝え方
- 会議での発言
- 情報の共有方法
など、自分と接している部分はあります。
そこまで見えると、
「自分には関係ない」
で終わらなくなります。
当事者意識は、
問題のすべてを自分事にすることではなく、
自分との接点を見つけること
から始まります。
2.自分が変えられる範囲はどこか?
次に考えたいのは、
「その中で、自分が変えられるものは何か」
です。
相手の考え方は変えられない。
会社全体の制度も、すぐには変えられない。
過去に起きたことも変えられません。
一方で、
自分の考え方や行動、伝え方、選び方は変えられます。
当事者意識がある人は、
何でも自分で変えようとする人ではありません。
むしろ、
変えられないものと、変えられるものを分けられる人
なのだと思います。
3.次に自分ができることは何か?
最後は、行動まで落とします。
ここで大きな答えを出す必要はありません。
たとえば、
- 一度聞いてみる
- 自分の考えを伝える
- 必要な情報を調べる
- 小さく試してみる
- 自分のやり方を変える
それくらいで十分です。
大切なのは、
「誰かが変えてくれるのを待つ」状態から、自分で一つ動ける状態へ移ること
です。
問題全体を解決できなくてもいい。
次にできることが一つ見つかれば、そこから状況は動き始めます。
ただ、できることが見えても、最初の一歩が大きすぎると動けません。
行動を小さくする考え方については、こちらの記事で詳しく紹介しています。

私が仕事で考えていたのも「誰の責任か」より「何ができるか」だった
会社員時代、私は長く業務改革やプロジェクトに関わってきました。
そうした仕事では、問題が一つの部署だけで完結することはあまりありません。
業務、システム、組織、人の動き。
いくつもの要素が絡み合っています。
そのため、
「これは誰の責任なのか」
「どの部署が対応するのか」
という話になることもよくありました。
もちろん、役割分担を明確にすることは必要です。
ただ、それだけでは問題が前に進まないことがあります。
私は、そんなときによく、
「今の自分の立場から、何ができるだろう」
と考えていました。
自分が担当者でなくても、問題の構造が見えることがあります。
少し情報を整理すれば、関係者が動きやすくなることもあります。
一度提案するだけで、止まっていた話が進むこともあります。
だからといって、全部を自分で抱え込むわけではありません。
必要なら、詳しい人に聞く。
関係する人を巻き込む。
自分では決められないことは、決められる人につなぐ。
それも、自分にできる行動の一つです。
振り返ってみると、当事者意識とは、
「自分が何とかしなければ」
という気負いではありませんでした。
むしろ、
「次に何ができるかを考える習慣」
に近かったように思います。
この考え方は、仕事だけではありません。
人生の中でも同じです。
環境や年齢、周囲の状況など、自分では変えにくいものはあります。
それでも、
「今の自分にできることは何か」
と考えれば、小さな選択肢は見つかることがあります。
当事者意識は、すべてを動かす力ではありません。
でも、
自分が動ける場所を見つける力
にはなると思っています。
当事者意識があっても、全部を背負わなくていい

当事者意識を持つことは大切です。
ただし、
何でも自分の問題として抱え込むこととは違います。
職場の問題を見つけたとき、
「自分が何とかしなければ」
と全部を引き受けてしまうと、できること以上の責任まで背負うことになります。
相手の考え方まで変えようとする。
組織全体まで自分で動かそうとする。
自分では決められないことまで、何とかしようとする。
これでは長く続きません。
できることはやる。
できないことは、人につなぐ。
変えられないものは、いったん手放す。
その境界を持っておくことが大切です。
これは、人生でも同じです。
他人の評価。
相手の機嫌。
過去の出来事。
社会の変化。
自分ではどうにもできないものは、たくさんあります。
だからこそ、
「自分は何を大切にしたいのか」
「自分はどこまで関わるのか」
を決めておく必要があります。
当事者意識とは、
すべてを引き受ける強さではありません。
自分の立ち位置を見極めながら、それでも一つは自分で選ぶこと。
そのくらいの距離感が、ちょうどいいのだと思います。
そのためには、
周囲の評価だけでなく、自分なりの判断軸を持っておくことも大切です。
他人基準と自分基準の違いについては、こちらの記事で詳しく整理しています。

1分ワーク|「自分にできること」を一つだけ書く
最近、少し気になっている問題を一つ思い浮かべてみてください。
仕事でも、人間関係でも、これからの生き方でもかまいません。
そして、次の3つだけを書いてみます。
- 今、何が起きているか
- 自分が変えられる部分はどこか
- 今日、自分にできることは何か
大きな答えを出す必要はありません。
たとえば、
「一度話してみる」
「調べてみる」
「自分の考えを書き出す」
「やり方を一つ変える」
そのくらいで十分です。
最初に必要なのは、
自分が動ける場所を一つ見つけること
です。
問題全体を解決できなくてもかまいません。
「これならできる」
と思えることを一つ選ぶ。
そこから、状況の見え方も少しずつ変わっていきます。
その一歩を実際の行動につなげるには、
「今週中に終わる形」まで小さくするのも一つの方法です。
目標を短期で回す考え方については、こちらの記事で整理しています。

まとめ|当事者意識とは、自分の立ち位置から考えること
当事者意識とは、
何でも自分の責任にすることではありません。
「自分には関係ない」で終わらせず、
自分との接点を見つけること。
変えられる範囲を見極めること。
そして、
そこから一つ行動を選ぶことです。
問題の中心に立つ必要はありません。
全部を背負う必要もありません。
大切なのは、
自分の立ち位置から、何ができるかを考えること。
私は、それが当事者意識なのだと思っています。
自分にできることを一つ選び、
小さく試しながら人生を整えていく考え方は、こちらの記事でも詳しく紹介しています。


