AIで「もしも」を考える|前提を変えて思考を広げる3つの方法

AIで「もしも」を考える|前提を変えて思考を広げる3つの方法

何かを考えるとき、私たちはどうしても今ある条件の中で考えます。

人員は今のまま。
納期も今の延長。
仕事の流れも基本的には変えない。

その中で、

「どこを効率化できるか」
「何を少し変えればよいか」

と考えます。

もちろん、それも必要です。

ただ、会社員時代に業務改革を進めていたとき、私はときどき、あえて極端な条件を置いて考えていました。

もし人数が半分だったら。
もし納期を3分の1にしなければならなかったら。

そこまで条件を変えると、部分的な改善では追いつきません。

作業を少し速くする。
人の配置を少し変える。

その程度では達成できない。

すると、

「そもそも、この仕事は必要なのか」
「この順番で進める必要があるのか」
「仕組みそのものを変えられないか」

と、考える場所が変わってきます。

実際に私は、そうした発想から、

業務改善の範囲を超えてビジネスモデルそのものを見直し、大きく仕組みを変えた経験があります。

今なら、この「もしも」を考える相手としてAIも使えます。

ただし、AIが出してきた答えを、そのまま使えばよいわけではありません。

むしろ大切なのは、

AIの答えをヒントにして、自分では置かなかった条件や前提に気づくこと

だと思います。

AIに、

「もし人数が半分なら?」
「もし今の方法が使えないなら?」

と問いかける。

そこから出てきた案をきっかけに、今までとは違う見方で考え直してみる。

「もしも」を考えることは、未来を当てることではありません。

今の前提をいったん外し、物事の見方そのものを変えるための思考実験です。

この記事では、AIを使って「もしも」を広げ、今の延長線では出てこない考え方を見つける方法を紹介します。


「もしも」を使って考える思考実験そのものについては、こちらの記事で基本的な考え方を紹介しています。

目次

なぜ「もしも」で考えると見方が変わるのか

なぜ「もしも」で考えると見方が変わるのか

普段の思考は、今ある条件の中で進みます。

今の人数。
今の設備。
今のルール。
今の役割分担。

そのため、出てくる案も、

今の仕組みを少し良くする

方向になりやすいです。

たとえば、

「10%効率化する」

であれば、作業手順を変えたり、無駄を減らしたりすることで対応できるかもしれません。

でも、

「人数を半分にする」

「納期を3分の1にする」

となると、同じ発想では届きません。

そこで初めて、

  • この仕事そのものは必要か
  • この工程はなくせないか
  • 順番を変えられないか
  • 別の方法で価値を届けられないか

と、前提そのものを見直す必要が出てきます。

つまり、「もしも」を置くことで、

改善ではなく、再設計の思考に切り替わる

のです。

ここが大きな違いです。

もちろん、極端な条件から出てくる答えが、そのまま使えるとは限りません。

むしろ、使えない案のほうが多いかもしれません。

でも、それでかまいません。

大切なのは、

今まで考えなかった方向に思考を動かすこと

です。

たとえばAIに、

もし人数が半分でも成立させる必要があるとしたら、何を変える必要がありますか。

と聞いてみる。

返ってきた答えが、そのまま実務に使えなくても、

「この工程はなくせるかもしれない」

「役割分担を変える余地がある」

といったヒントが見つかることがあります。

「もしも」は、正解を出すための問いではありません。

今の前提を揺らし、見方を変えるための問い

なのだと思います。


今の条件を当たり前だと思わず、思考の土台になっている前提を見直す方法はこちらで整理しています。

私は極端な条件を置いて、考え方そのものを変えていた

会社員時代、業務改革を進める中で、私はときどき意図的に厳しい条件を置いて考えていました。

たとえば、

もし人数が半分だったら。
もし納期を3分の1にしなければならなかったら。

というようにです。

普通に考えれば、かなり無理のある条件です。

でも、だからこそ意味がありました。

今の仕事の流れをそのままにして、

「どこを少し効率化するか」

と考えても、そこには届きません。

すると、

「この工程そのものをなくせないか」

「前後の仕事をつなげられないか」

「誰がやるかではなく、そもそもやり方を変えられないか」

と、考える対象が変わってきます。

つまり、

今の仕組みを良くする発想から、仕組みそのものをつくり直す発想へ移る

わけです。

実際、私が関わった改革でも、部分的な業務改善だけでは目標に届かないことがありました。

そこで、仕事の流れや役割分担だけでなく、

ビジネスモデルそのものを見直す

ところまで考えました。

その結果、従来の延長では難しかった大きな改善につながりました。

最初に置いた「人数半分」「納期3分の1」という条件が、そのまま答えだったわけではありません。

その条件によって、

今まで当然だと思っていた前提を疑うことができた。

そこに意味があったのだと思います。

今なら、こうした思考実験にAIを使えます。

AIに正解を出してもらうのではなく、

「そんな見方もあるのか」

「そこは変えられないと思い込んでいた」

と気づくためのヒントとして使う。

そのくらいの距離感が、ちょうどよいと思います。


AIを答えを出す道具ではなく、考えを広げる相手として使う基本的な方法は、こちらの記事で紹介しています。

AIで「もしも」を考える3つの方法

AIで「もしも」を考える3つの方法

1.条件を極端に変えてみる

まずは、今ある条件を思い切って変えてみます。

たとえば、

  • 人数が半分だったら
  • 納期が3分の1だったら
  • 予算が半分だったら
  • 作業時間が1日しかなかったら
  • 店舗を使えなかったら

といった条件です。

少し厳しいくらいではなく、

今のやり方では、そのままでは達成できない条件

を置くのがポイントです。

なぜなら、そのくらい極端でないと、

「少し効率化しよう」

「手順を少し変えよう」

という改善の延長から抜けにくいからです。

AIには、たとえばこう聞けます。

この仕事を、人数が半分でも成立させる必要があるとしたら、何を変える必要がありますか。

あるいは、

納期を3分の1にするとしたら、今のやり方を前提にせず考えてください。

すると、今までとは違う方向の案が出てくることがあります。

そのまま使えなくても、

「この工程は本当に必要か」

「役割分担を変えられないか」

「そもそも提供方法を変えられないか」

と考えるきっかけにはなります。

ここでのAIの役割は、

今の前提から少し離れるきっかけをつくること

です。

極端な条件を置くことで、考える場所そのものを変えてみます。

2.「変えられない」と思っている前提を外してみる

次は、条件を厳しくするのではなく、

今まで当然だと思っていた前提を外してみる

方法です。

仕事では、

「この工程は必要だ」

「この人が担当するものだ」

「この順番で進めるものだ」

「この方法で提供するものだ」

と、無意識に決めていることがあります。

でも、それが本当に絶対条件なのかは分かりません。

長く続いているだけで、今では意味が薄れていることもあります。

そこでAIに、

この工程がなくても成立するとしたら、どんな方法がありますか。

と聞いてみる。

あるいは、

今のやり方を一切使わないとしたら、別の方法はありますか。

と聞いてみます。

すると、自分では触れていなかった前提に目が向きます。

たとえば、

「この工程はなくせない」

と思っていたものが、前後の工程をつなげれば不要になるかもしれない。

「この担当者がやるもの」

と思っていた仕事が、仕組みを変えれば別の形にできるかもしれない。

ここでも、AIの答えをそのまま使う必要はありません。

大切なのは、

自分が何を「変えられないもの」として扱っていたかに気づくこと

です。

「もし、この前提がなかったら」

と考えるだけで、固定されていた見方が少し動きます。

3.極端な案から、現実に使えるヒントを拾う

「もしも」で考えると、かなり大胆な案が出てきます。

中には、

「それは現実では無理だろう」

と思うものもあります。

でも、そこで全部を切り捨ててしまうと、「もしも」で考えた意味が薄くなります。

大切なのは、

その案をそのまま使うことではなく、そこから使える部分を拾うこと

です。

たとえば、

「人数を半分にするには、自動化を徹底する」

という案が出たとします。

全面的な自動化は難しくても、

「この作業だけなら自動化できるかもしれない」

というヒントにはなります。

あるいは、

「納期を3分の1にするなら、後工程を減らす」

という案が出たら、

「後工程で確認していることを、もっと上流で決められないか」

と考え直せるかもしれません。

つまり、

極端な条件で遠くまで考え、そこから現実に戻ってくる

わけです。

私は、この戻り方が大切だと思います。

「もしも」で広げるだけでは、思考実験で終わります。

そこから、

「では、今の現実で何を変えられるか」

まで戻して、初めて実践につながります。

AIの案も同じです。

全部を採用する必要はありません。

  • 何をなくせそうか
  • どこをつなぎ直せそうか
  • 何を別の方法に置き換えられそうか
  • どの前提なら見直せそうか

というヒントを一つ拾えれば十分です。

「もしも」で一度遠くへ行き、

使えるものだけ持って現実に戻る。

それが、3つ目の方法です。


「もしも」から得たヒントを、もう少し大きな全体像や構想へ広げたいときは、こちらの方法も使えます。

「もしも」は未来予測ではない

「もし人数が半分だったら」

「もし納期が3分の1だったら」

と考えると、未来を予測しているようにも見えます。

でも、ここでの目的は、

未来を当てることではありません。

本当に人数が半分になるかどうか。

本当に納期が3分の1になるかどうか。

それを予測するために考えるわけではありません。

大切なのは、

その条件になったとしたら、今の考え方では何が通用しなくなるかを見ること

です。

たとえば、

「もし店舗を持てなかったら」

と考えたとき、実際に店舗がなくなるかどうかは重要ではありません。

その仮定によって、

「店舗があることを前提にしていた」

と気づければよいのです。

同じように、

「もし新人だけで運営するとしたら」

と考えれば、ベテランの経験や暗黙知に頼っている部分が見えてくるかもしれません。

「もし価格を半分にしなければならないとしたら」

と考えれば、今のコスト構造そのものを見直す必要が出てくるかもしれません。

つまり、「もしも」は、

未来の正解を探す問いではなく、今の前提を映し出す問い

です。

AIは「もしも」を増やす相手になる

AIは「もしも」を増やす相手になる

「もしも」で考えるといっても、自分一人では、どうしても発想に限界があります。

人数を半分にする。
納期を3分の1にする。
予算を減らす。

ある程度は思いついても、そこで止まってしまうことがあります。

そんなとき、AIは、

自分では置かなかった条件を増やす相手

として使えます。

たとえば、

このテーマについて、今の前提を揺さぶる「もしも」を10個出してください。

と聞いてみる。

すると、

  • 顧客が2倍になったら
  • 店舗が使えなかったら
  • 新人だけで運営するとしたら
  • 価格を半分にしなければならなかったら
  • 逆に価格を10倍にするとしたら
  • 今の仕組みを一切使えなかったら

といった、自分ではすぐに思いつかない条件が出てくることがあります。

すべてが役に立つ必要はありません。

その中に、

「これは面白い」

「この条件なら、今のやり方では無理だ」

と思えるものが一つあれば十分です。

AIは、答えそのものを考えてもらう相手というより、

思考実験の入口を増やしてくれる相手

として使う。

この使い方が、「もしも」とAIの相性のよいところだと思います。

1分ワーク|「もしも」を一つ置いてみる

今、考えているテーマを一つ決めてみてください。

仕事でも、企画でも、日常のことでもかまいません。

AIに、

このテーマについて、今の前提を揺さぶる「もしも」を5つ出してください。

と聞いてみます。

その中から、一番気になるものを一つ選びます。

次に、

その条件でも実現するなら、何を変える必要がありますか。

と考えます。

最後に、

そこから現実に使えそうなヒントを一つ拾う。

これだけです。

「もしも」を置く目的は、非現実的な案をそのまま採用することではありません。

今まで動かなかった前提を、一度動かしてみること。

そこから新しい見方が生まれれば十分です。


今の延長ではなく、仕組みそのものを変えて問題を解こうとするときは、
ビジョンから考える問題解決の方法にもつながります。

まとめ|「もしも」は前提を動かすために使う

何かを考えるとき、私たちは今ある条件の中で考えがちです。

今の人数。
今の納期。
今の仕組み。
今の役割分担。

その中で考えると、どうしても今の延長線にある答えになりやすくなります。

そこで、

もし人数が半分だったら。
もし納期が3分の1だったら。
もし今の方法が使えなかったら。

と、あえて極端な条件を置いてみる。

すると、

「少し改善する」

という発想では足りなくなります。

仕事の流れそのものを変える。
工程をなくす。
役割を見直す。
場合によっては、仕組みやビジネスモデルそのものを考え直す。

そんなところまで思考を進める必要が出てきます。

AIは、この「もしも」を増やす相手として使えます。

ただし、大切なのはAIの案をそのまま採用することではありません。

自分では置かなかった条件に触れ、そこからヒントを拾うこと。

「もしも」を考える目的は、未来を当てることではありません。

今の前提をいったん動かし、物事の見方そのものを変えること。

一度、現実から少し離れて考える。

そして、そこから使えるものだけを現実へ戻す。

その往復が、新しい発想につながっていくのだと思います。

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