「知っているつもり」を見直す|理解を深める3つの問い

「知っているつもり」を見直す|理解を深める3つの問い

「それは、もう知っている」

そう思った瞬間に、考えることが止まってしまうことがあります。

本を読んでいるとき。

誰かの話を聞いているとき。

AIの回答を読んでいるとき。

一度聞いたことがある内容や、見覚えのある言葉に出会うと、

「分かった」

と思いやすいものです。

でも、本当に理解しているかどうかは、少し別の話です。

自分の言葉で説明しようとすると、うまく言えない。

なぜそう言えるのか聞かれると、答えに詰まる。

別の場面では、うまく使えない。

そんなことは、よくあります。

私自身も仕事の現場で、

「知っているつもりだった」

と気づくことが何度もありました。

知っていることと、理解していることは同じではありません。

むしろ、

「分かった」

と思ったところでもう一度問い直すことで、理解が深まることがあります。

この記事では、

「知っているつもり」で思考を止めず、

本当に理解しているかを確かめるための3つの問い

について考えてみます。

目次

「知っている」と「理解している」は少し違う

「知っている」と「理解している」は少し違う

私たちは普段、

「それは知っています」

という言葉をよく使います。

でも、「知っている」にはかなり幅があります。

言葉を聞いたことがある。

以前、本で読んだことがある。

誰かから説明を受けたことがある。

内容を聞いて、

「なるほど」

と納得したことがある。

こうした状態も、すべて「知っている」と言えます。

けれど、それだけで本当に理解しているとは限りません。

たとえば、

「習慣は、小さく始めたほうが続きやすい」

という話を知っているとします。

聞いたことがある人は多いでしょう。

では、

「なぜ、小さく始めると続きやすいのか」

と聞かれたらどうでしょうか。

さらに、

「自分の場合、何をどこまで小さくすればいいのか」

と聞かれると、少し考える必要が出てきます。

言葉を知っていること。

その意味や理由を理解していること。

さらに、自分の状況に合わせて使えること。

そこには少しずつ違いがあります。

私は、理解するとは、

単に情報を持っていることではないと思っています。

「なぜそうなるのか」

「自分ならどう使うのか」

まで、自分の中でつながっている状態です。

だから、

「分かった」と感じたところが、考える終点とは限りません。

むしろ、

「本当に分かっているだろうか」

と問い直すところから、理解が深まっていくことがあります。

なぜ「分かったつもり」になるのか

「知っている」と「理解している」は少し違う。

そう分かっていても、私たちは簡単に「分かったつもり」になります。

それには、いくつか理由があります。

1.見覚えがあると、理解した気になる

以前どこかで聞いた話。

本で読んだことがある言葉。

何度も見たことがある考え方。

こうしたものに出会うと、

「これは知っている」

と感じます。

でも、

見覚えがあることと、理解していることは同じではありません。

言葉を知っているだけかもしれない。

意味をなんとなく分かっているだけかもしれない。

それでも、見慣れているというだけで、

「もう考えなくてもいい」

という感覚が生まれます。

私自身も本を読んでいて、

「これは知っている話だな」

と思って読み飛ばしそうになることがあります。

けれど、少し立ち止まって考えると、

以前とは違う意味に気づくことがあります。

知っているからこそ、見落としていることもあります。

2.説明が分かりやすいと、自分も理解した気になる

もう一つ起こりやすいのが、

相手の説明が分かりやすいほど、理解した気になる

ことです。

本でも、人の話でも、AIの回答でも同じです。

筋道が通っている。

例も分かりやすい。

読んでいて、

「なるほど」

と思う。

その瞬間は、確かに内容を理解できています。

ただ、

相手の説明を理解できたことと、

自分で説明できることは別です。

いざ自分の言葉で話そうとすると、

うまく言葉が出てこない。

途中で説明が曖昧になる。

そんなことがあります。

分かりやすい説明は、理解を助けてくれます。

一方で、

「分かった」という感覚だけを強くしてしまうこともあります。

3.答えが分かると、そこで考えることをやめてしまう

私たちは何かを学ぶとき、

答えを求めます。

「どうすればいいのか」

「何が正しいのか」

「結論は何か」

答えが見つかると、安心します。

でも、その安心したところで、

思考が止まることがあります。

たとえば、

「習慣は小さく始めるといい」

という答えを知ったとします。

そこで終われば、

知識は一つ増えます。

でも、

なぜ小さいほうがいいのか。

どのくらい小さければいいのか。

自分の場合はどうなのか。

そこまで考えると、理解は少し深くなります。

答えを知ることと、理解することは同じではありません。

答えが分かったあとに、

もう一度問いを持てるかどうか。

そこに、

「知っているつもり」で終わるか、

理解を深められるかの違いがあるように思います。


「分かった」と思ったところで終わらず、
そこからもう一段考えてみたいときは、以下の記事も参考になります。

「知っているつもり」を見直す3つの問い

「知っているつもり」を見直す3つの問い

「分かったつもり」に気づくために、難しいことをする必要はありません。

一度立ち止まって、

いくつか問い直してみるだけでも十分です。

私が大切だと思うのは、次の3つです。

1.自分の言葉で説明できるか?

まず確かめたいのは、

自分の言葉で説明できるかどうか

です。

本を読んだあと。

誰かの話を聞いたあと。

AIの回答を読んだあと。

そのまま文章を見ながらではなく、

一度閉じて、

「要するに、どういうことなのか」

と自分の言葉で言ってみます。

ここで大切なのは、

きれいに説明することではありません。

途中で言葉に詰まったり、

説明が曖昧になったりしたところがあれば、

そこがまだ十分に理解できていない場所です。

たとえば、

「習慣は小さく始めたほうがいい」

という話を知っていたとしても、

「なぜ小さくすると続きやすいのか」

を自分の言葉で説明しようとすると、

意外と難しいことがあります。

そのとき初めて、

「知ってはいたけれど、まだ自分の中では整理できていなかった」

と気づけます。

説明することは、

誰かに教えるためだけのものではありません。

自分がどこまで理解しているかを確かめる方法でもあります。

2.なぜそう言えるのか?

次に問い直したいのは、

「なぜそう言えるのか」

です。

私たちは、結論だけ覚えていることがあります。

「こうしたほうがいい」

「これは大切だ」

「こう考えるべきだ」

でも、

なぜそうなのか。

何を根拠にそう言えるのか。

どんな条件なら成り立つのか。

そこまで考えているとは限りません。

だから、

一度、

「なぜ?」

と問い直してみます。

さらに余裕があれば、

「本当にいつでもそうなのか」

「例外はないのか」

「前提になっていることは何か」

まで考えてみます。

これは、何でも疑えばいいという話ではありません。

大切なのは、

自分がどこまで理由を理解しているかを確かめること

です。

結論だけを持っているのか。

その理由までつながっているのか。

ここを確かめると、

「知っている」と「理解している」の違いが見えやすくなります。


「なぜそう言えるのか」と考えていくと、その考えの土台になっている前提にも気づきます。
前提そのものを見直したいときは、以下の記事で詳しく紹介しています。

3.別の場面でも使えるか?

最後に考えたいのは、

その考えを別の場面でも使えるか

です。

理解していることは、

少し状況が変わっても応用できます。

たとえば、

「小さく始める」

という考え方を、

運動だけではなく、

読書。

勉強。

仕事。

AIの活用。

新しい習慣。

そんな別の場面に当てはめてみます。

「この場合なら、どう使えるだろう」

と考えてみる。

うまく当てはめられないときは、

まだ具体例だけを覚えているのかもしれません。

反対に、

別の場面でも意味を考え直せるようになれば、

その知識は少しずつ自分のものになっていきます。

私は、

理解するとは、知識を自分の中で動かせるようになること

でもあると思っています。

覚えているだけではなく、

必要なときに考え直し、

状況に合わせて使える。

そこまでいって初めて、

「知っている」が「使える理解」に変わっていくのではないでしょうか。

分からないところが見つかったら、それでいい

分からないところが見つかったら、それでいい

自分の言葉で説明してみる。

「なぜそう言えるのか」と問い直してみる。

別の場面に当てはめてみる。

そうすると、

「思ったより分かっていなかった」

と気づくことがあります。

でも、それは悪いことではありません。

むしろ、

分からないところが見えた時点で、理解は一歩進んでいます。

「知っているつもり」のままだと、

どこが分かっていないのかにも気づけません。

分かったと思っているので、

調べ直そうとも思わない。

問い直そうとも思わない。

そこで思考が止まってしまいます。

一方、

「ここはうまく説明できないな」

「なぜそうなるのかは、よく分かっていない」

と気づけば、

そこからもう一度考え始めることができます。

本に戻ってみる。

別の資料を調べてみる。

誰かに聞いてみる。

AIに、

「この部分を別の角度から説明して」

と問い直してみる。

あるいは、

しばらく自分で考えてみる。

すべてを完全に理解する必要はありません。

大切なのは、

自分がどこまで分かっていて、どこから分かっていないのかを知ること。

それが分かれば、

次に何を考えればいいのかも見えてきます。

「分からない」は、

思考が止まった状態ではありません。

むしろ、

もう一度考え始めるための入口です。


分からないことが見つかったあと、すぐに答えが出ないこともあります。
そんなときの考え方は、以下の記事で詳しく紹介しています。

BPRの現場で何度も感じた「知っているつもり」

私自身、会社員時代にBPR(業務プロセス改革)を進める中で、

「知っているつもりだった」

と何度も感じました。

ある業務について、

資料もある。

業務フローもある。

担当者から説明も受けている。

そうすると、

「この仕事は、だいたい分かっている」

と思ってしまいます。

でも、実際に現場へ行って観察すると、

まったく違う姿が見えてきます。

同じ業務なのに、担当者によってやり方が違う。

ある人は簡単に済ませている作業を、

別の人は細かく確認しながら進めている。

「そんなことまでやっているのか」

と思うような作業が含まれていることもあります。

こちらが想定していた業務の内容や範囲と、

実際に行われている仕事が違う。

さらに見ていくと、

前の工程からどんな情報を受け取っているのか。

次の工程へ何を渡しているのか。

誰の判断を待っているのか。

どこで手戻りが起きているのか。

前後工程とのつながりも、

想像していたものとは違っていました。

こうしたことは、一度や二度ではありません。

だから私は、

業務を「知っている」ことと、業務の実態を「理解している」ことは違う

と強く感じるようになりました。

資料や説明から分かるのは、

あくまで一つの見え方です。

実際に観察すると、

そこには例外があり、

人による違いがあり、

前後とのつながりがあり、

言葉だけでは見えない判断や工夫があります。

そして、そこまで見えて初めて、

「なぜこの業務が必要なのか」

「どこに本当の問題があるのか」

「何を変えるべきなのか」

を考えられるようになります。

もし最初から、

「この業務は分かっている」

と思い込んでいたら、

こうした違いには気づけなかったでしょう。

改革の現場で必要だったのは、

知識を増やすことだけではありませんでした。

「本当に分かっているだろうか」と、知っていることをいったん外して見ること。

それが、

現状を正しく見る入口だったのだと思います。

これは、仕事以外でも同じです。

何度も聞いたことのある話。

よく知っていると思っている考え方。

慣れている習慣。

そうしたものほど、

一度立ち止まって見直すことで、

今まで気づかなかったことが見えてくることがあります。

1分ワーク|知っていることを一つ見直してみる

最近、

「これは知っている」

「もう分かっている」

と思ったことを一つ選んでみてください。

本で読んだことでも、

仕事のことでも、

誰かから聞いた話でもかまいません。

そして、次の3つを考えてみます。

  1. 自分の言葉で説明すると、どうなるか
  2. なぜそう言えるのか
  3. 別の場面では、どう使えるか

全部、うまく答えられなくても大丈夫です。

むしろ、

言葉に詰まったところ。

理由を説明できなかったところ。

別の場面に当てはめられなかったところ。

そこが、

次に考える場所です。

知っているつもりをなくす必要はありません。

大切なのは、

「本当に分かっているだろうか」と、ときどき確かめてみること。

その一度の問い直しが、

理解をもう一段深めるきっかけになります。


人から得た知識を理解するだけでなく、
「では、自分はどう考えるのか」まで進めると、知識はさらに自分のものになっていきます。

まとめ|「分かった」で終わらせない

知っていることが増えるほど、

「これはもう分かっている」

と思う場面も増えていきます。

でも、

知っていることと、

本当に理解していることは、

少し違います。

だから、ときどき立ち止まって、

  • 自分の言葉で説明できるか
  • なぜそう言えるのか
  • 別の場面でも使えるか

と問い直してみる。

それだけでも、

「知っているつもり」に気づきやすくなります。

そして、

うまく説明できないところが見つかっても、

それは悪いことではありません。

そこが、

次に考える場所です。

分かったと思ったところで終わらず、

もう一度見る。

もう一度問い直す。

「知っている」で止まらず、もう一度考え始める。

その繰り返しが、

理解を少しずつ深めていくのだと思います。

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