「それは違うんじゃないか」
誰かの意見を聞いて、そう思うことがあります。
本を読んでいるとき。
仕事の話をしているとき。
SNSやニュースを見ているとき。
自分とは違う考えに出会うと、
つい反論したくなったり、
逆に「そういう考え方もあるのか」と、そのまま受け入れてしまったりします。
でも、
違う意見に出会ったとき、
すぐに否定する必要も、
すぐに同意する必要もありません。
少しだけ立ち止まって、
「なぜ、自分とは違うのだろう」
と考えてみる。
すると、
自分では見えていなかった前提や、
別の見方が見つかることがあります。
そして、
相手の意見を理解しようとすることで、
かえって自分の考えがはっきりすることもあります。
違う意見は、
自分の考えを壊すものではありません。
むしろ、
自分の考えを広げたり、確かめたりするきっかけになることがあります。
この記事では、
違う意見に出会ったとき、
すぐに賛成・反対を決めるのではなく、
自分の考えを広げるための3つの視点
について考えてみます。
違う意見に出会うと、なぜ反応してしまうのか

違う意見に出会ったとき、
私たちは、思っている以上に早く反応しています。
「それは違う」
「自分とは合わない」
「なるほど、そうかもしれない」
まだ十分に考える前に、
賛成か反対かを決めてしまうこともあります。
なぜ、そうなるのでしょうか。
1.自分を否定されたように感じる
自分の意見と違うことを言われると、
考え方への反対なのに、
自分自身を否定されたように感じることがあります。
すると、
内容を考える前に、
自分の考えを守ろうとします。
でも、
意見が違うことと、自分が否定されたことは同じではありません。
相手は、
別の経験や前提から、
違う結論にたどり着いているだけかもしれません。
ここを分けて考えられると、
少し落ち着いて相手の意見を見られるようになります。
2.自分の考えを守りたくなる
一度、
「自分はこう思う」
という考えを持つと、
それを簡単には変えたくなくなります。
特に、
長く信じてきたこと。
自分の経験から得た考え。
何度も人に話してきたこと。
こうしたものほど、
違う意見を受け入れにくくなります。
自分の考えを持つこと自体は大切です。
でも、
考えを持つことと、考え直さないことは別です。
違う意見に出会ったときこそ、
「自分はなぜ、そう考えているのだろう」
と問い直すきっかけになります。
3.すぐに白黒をつけたくなる
賛成か反対か。
正しいか間違っているか。
二つに分けると、分かりやすくなります。
でも、
実際の意見は、そんなに単純ではありません。
結論には賛成できなくても、
その途中の考え方には納得できることがあります。
前提は違っていても、
問題だと感じている部分は同じかもしれません。
つまり、
一つの意見の中にも、同意できる部分と違う部分が混ざっています。
だからこそ、
違う意見に出会ったとき、
すぐに白黒をつけない。
まずは、
「どこが違うのか」
を見てみる。
そこから、
考える余地が生まれてきます。
違う意見に出会ったときの3つの視点

違う意見に出会ったとき、
すぐに賛成か反対かを決める必要はありません。
少し立ち止まって、
「どこが違うのか」
「なぜ違うのか」
「自分は何を受け取れるのか」
と考えてみる。
私が大切だと思うのは、次の3つの視点です。
1.「どこが違うのか」を具体的にする
最初にしたいのは、
違いをひとまとめにしないこと
です。
「この人とは考え方が合わない」
そう思ったときでも、
実際には、すべてが違うとは限りません。
違っているのは、
事実の捉え方かもしれない。
前提かもしれない。
優先していることかもしれない。
あるいは、
最後の結論だけかもしれません。
たとえば、
同じ問題を見ていても、
「まず早く動いたほうがいい」
と考える人もいれば、
「失敗しないように慎重に進めたほうがいい」
と考える人もいます。
この場合、
問題そのものの認識は同じでも、
何を優先するかが違っています。
ところが、
「意見が違う」
とだけ捉えると、
その中身まで見えなくなります。
だから、
「私は何に引っかかったのだろう」
「どの部分が自分と違うのだろう」
と少し具体的にしてみます。
違いを分けて見ると、考えられるようになります。
全部が違うのか。
一部だけ違うのか。
同じところはないのか。
そこを確かめるだけでも、
相手の意見を落ち着いて見られるようになります。
意見の違いを整理するときは、
「実際に起きていること」と「そこからどう意味づけしているか」を分けてみると、違いが見えやすくなります。
その考え方は、以下の記事で詳しく紹介しています。

2.「相手は何を前提にしているのか」を見る
次に考えたいのは、
その意見の前提です。
同じ事実を見ていても、
前提が違えば、
結論も変わります。
たとえば、
スピードを優先する人と、
確実性を優先する人では、
同じ仕事の進め方を見ても評価が違います。
短期の成果を重視する人と、
長期的な積み重ねを重視する人でも、
答えは変わるでしょう。
つまり、
相手の結論だけを見ても、
なぜそう考えたのかは分かりません。
そこで、
「この人は、何を大切にしているのだろう」
「どんな経験や条件を前提にしているのだろう」
と考えてみます。
すると、
最初は理解できなかった意見にも、
少し筋道が見えてくることがあります。
そして、
相手の前提を見ると、
自分の前提にも気づきます。
「私はスピードを優先していた」
「私は安全性を重く見ていた」
「自分の経験を基準に考えていた」
そんなことが見えてきます。
違う意見に出会うことは、
相手を理解するだけではありません。
自分がどんな前提で考えているのかを知る機会にもなります。
相手の前提を見ると、自分が無意識に置いていた前提にも気づくことがあります。
前提そのものを見直す方法は、以下の記事で整理しています。

3.「取り入れられる部分はないか」を考える
最後に、
相手の意見から、
自分の考えに取り入れられる部分がないか
を考えます。
ここで大切なのは、
相手の意見を全部受け入れる必要はないということです。
結論には賛成できない。
でも、
その視点は自分にはなかった。
問題の見方は参考になる。
その前提は、一度考えてみる価値がある。
それだけでも十分です。
違う意見を聞くと、
つい、
「自分が正しいか、相手が正しいか」
という話にしてしまいます。
でも、
思考を広げるためなら、
勝ち負けを決める必要はありません。
相手の意見を材料にして、
「この視点を入れると、自分の考えはどう変わるだろう」
と考えてみる。
その結果、
考えが変わることもあります。
変わらないこともあります。
どちらでもいいのだと思います。
大切なのは、
違う意見に触れたあと、
自分の考えを一度動かしてみること。
そうすることで、
それまで気づかなかった部分が見えたり、
逆に、
「やはり自分はここを大切にしたい」
と分かったりします。
違う意見を受け入れることと、同意することは違う

違う意見に出会ったとき、
「相手の考えを理解しよう」
と言うと、
その意見を受け入れなければならないように感じることがあります。
でも、
理解することと、同意することは別です。
相手がなぜそう考えているのか。
どんな前提を持っているのか。
何を大切にしているのか。
そこまで分かったうえで、
「それでも私は違うと思う」
となってもかまいません。
むしろ、
最初から反対するより、
一度相手の考えを見たうえで自分の意見を持ったほうが、
なぜ自分はそう考えるのかが、はっきりします。
相手の考え方には理由がある。
でも、
自分が重視しているものとは違う。
あるいは、
一部には納得できても、
結論までは同意できない。
それでいいのだと思います。
大切なのは、
すぐに跳ね返すことでも、
そのまま受け入れることでもありません。
一度、自分の中で考えてみること。
相手の意見を通して、
自分の考えを見直してみる。
そのうえで、
「私はこう考える」
と戻ってくる。
違う意見を受け止める目的は、
自分の考えを捨てることではありません。
自分の考えを、もう一度確かめること。
そのためにも、
違う意見は役に立ちます。
相手の意見を理解したつもりにならず、
「自分は本当にその考えを理解しているだろうか」と問い直すことも大切です。
理解を確かめる方法は、以下の記事で紹介しています。

私自身も、改革の現場で違う意見に何度も出会った
私自身、会社員時代にBPR(業務プロセス改革)を進める中で、
違う意見に何度も出会いました。
こちらが、
「このやり方に変えたほうがいい」
と考えても、
現場からは、
「それではうまくいかない」
「この手順は残したほうがいい」
「実際の運用では難しい」
といった意見が出てきます。
最初は、
「なぜ変えたくないのだろう」
と思うこともありました。
でも、話を聞いていくと、
単に変化を嫌がっているわけではないことが分かります。
実際の現場では例外が多い。
顧客対応のために必要な確認がある。
次の工程で困らないように、あえて手間をかけている。
過去のトラブルを踏まえて、今のやり方になっている。
そんな事情が見えてくることがあります。
つまり、
こちらから見れば「不要」に見えた作業にも、
現場なりの理由があったわけです。
もちろん、
すべての反対意見をそのまま受け入れる必要はありません。
昔からやっているだけの作業もあります。
本当に見直したほうがいいやり方もあります。
それでも、
反対意見の中には、こちらが見えていなかった前提や条件が含まれている
ことがありました。
そこを確かめずに、
「抵抗されている」
だけで終わらせてしまうと、
大切な情報まで失ってしまいます。
だから、
「どこが違うのか」
「なぜ、そう考えるのか」
「こちらが見落としていることはないか」
と聞いていく。
すると、
最初の改革案をそのまま通すよりも、
現場の実態に合った形へ修正できることがあります。
私は、この経験から、
違う意見は、考えを確かめる材料にもなる
と感じるようになりました。
自分とは違う意見に出会ったとき、
否定するか受け入れるかだけではなく、
「ここから何が見えるだろう」
と考えてみる。
それだけで、
自分一人では気づけなかったことが見えてくることがあります。
1分ワーク|最近ひっかかった意見を一つ選ぶ
最近、
「それは違うな」
と感じた意見を一つ思い出してみてください。
本で読んだことでも、
誰かとの会話でも、
SNSで見た意見でもかまいません。
そして、次の3つを考えてみます。
- どこが自分と違っているのか
- 相手は何を前提にしているのか
- 取り入れられる部分はないか
ここまで考えたら、最後にもう一つ。
「それでも、自分はどう考えるか」
を一文で書いてみます。
相手の意見に近づいてもいい。
考えが変わらなくてもいい。
大切なのは、
違う意見に触れたあとに、
自分の考えを一度動かしてみることです。
その一度の問い直しが、
考えを広げたり、
自分が何を大切にしているのかを確かめたりするきっかけになります。
違う意見を見たあと、最後は「では、自分はどう考えるのか」に戻ってきます。
自分の考えを言葉にする方法は、以下の記事で詳しく紹介しています。

まとめ|違う意見を、自分の考えを広げる材料にする
違う意見に出会うと、
つい、
否定したくなったり、
逆に、そのまま受け入れてしまったりします。
でも、
すぐに賛成か反対かを決めなくてもいいのだと思います。
一度立ち止まって、
- どこが違うのか
- 相手は何を前提にしているのか
- 取り入れられる部分はないか
と考えてみる。
それだけでも、
相手の意見の見え方は少し変わります。
そして同時に、
自分が何を大切にしているのかも見えてきます。
違う意見を理解することは、
相手に同意することではありません。
自分の考えを捨てることでもありません。
変わることもある。
変わらないこともある。
どちらでもいいのだと思います。
大切なのは、
違う意見に出会ったとき、
すぐに閉じてしまわないこと。
「なぜ違うのだろう」
「ここから何が見えるだろう」
と、少しだけ考えてみる。
違う意見は、自分の考えを広げたり、その輪郭を確かめたりするきっかけになります。

