何かを終えたあと、
「うまくいった」
「今回はダメだった」
と感じることがあります。
仕事でも、
習慣でも、
人とのやり取りでも同じです。
ただ、
その感想だけで終わってしまうと、
せっかくの経験が次に生かされないことがあります。
私は会社員時代、
長くプロジェクトを率いる仕事をしてきました。
プロジェクトでは、
計画どおりに進むことばかりではありません。
だからこそ、
何が起きたのか。
なぜ、そうなったのか。
次は、何を変えるのか。
を考えることが欠かせませんでした。
振り返るというと、
反省することを思い浮かべる人もいるかもしれません。
でも私は、
振り返りは反省だけのためにするものではないと思っています。
大切なのは、
「今回の経験から、次に使えるものは何か」
を考えることです。
うまくいかなかったことからは、
次に変えるヒントを。
うまくいったことからは、
次にも続けたいヒントを。
こうして経験を見直すことで、
少しずつ次の判断や行動につながっていきます。
この記事では、
経験を次の行動につなげるための「振り返る力」
について考えてみます。
振り返りは「反省」ではなく、経験から学ぶための思考

振り返るというと、
「何が悪かったのか」
「どこで失敗したのか」
を考えることだと思いがちです。
もちろん、
失敗の原因を見ることも大切です。
ただ、
それだけでは振り返りが、
過去を反省する時間で終わってしまいます。
私は会社員時代、
プロジェクトを率いる中で、
何度も振り返りをしてきました。
計画どおりに進まない。
予定より遅れる。
想定していなかった問題が出る。
そんなことは珍しくありません。
そのたびに、
何が起きたのか。
どこで想定と違ったのか。
なぜ、その違いが出たのか。
次は、何を変えるのか。
を考えていました。
私にとって振り返りは、
プロジェクトが終わったあとにする反省会ではなく、
プロジェクトを前へ進めるための思考
でした。
これは、
日々の仕事や習慣でも同じです。
たとえば、
思ったような結果が出なかったときに、
「自分の準備が足りなかった」
と考えて終われば、
反省にはなります。
でも、
「どの準備が足りなかったのか」
「事前に何がわかっていれば違ったのか」
「次は何を先に確認すればよいか」
まで考えると、
その経験は次の行動に使える材料になります。
うまくいったときも同じです。
「今回はうまくいった」
で終わらず、
「何が良かったのか」
「次にも使えることは何か」
と考えてみる。
すると、
成功した経験からも学びを取り出せます。
振り返りの目的は、
過去を評価することではなく、次に生かせるものを見つけること。
そのためには、
経験をどのように見ればよいのでしょうか。
私は、
まず3つの視点で振り返ると考えやすいと思っています。
振り返る力を鍛える3つの視点

振り返るときは、
何が起きたのか。
なぜ、そうなったのか。
次に何を変えるのか。
この3つに分けて考えると、
感想だけで終わりにくくなります。
1.まず、起きたことを事実として見る
最初に見るのは、
「良かったか、悪かったか」ではなく、実際に何が起きたか
です。
たとえば、
会議がうまくいかなかったと感じたとします。
「今日はダメな会議だった」
で終わるのではなく、
- 予定より30分長くなった
- 途中で議題が増えた
- 結論が決まらないまま終わった
と分けてみます。
こうすると、
「うまくいかなかった」
という感想が、
考えるための材料に変わります。
振り返るときは、
気持ちや印象が先に出やすいものです。
でも、
そこから考え始めると、
「自分の進め方が悪かった」
と、
自分への評価に寄ってしまうことがあります。
まずは、
何が起きたのかを、そのまま見る。
それが、
振り返りの出発点です。
振り返りの最初に必要なのは、
評価することよりも、まず事実を見ることです。
日常の小さな変化や事実に気づく力については、以下の記事で詳しく紹介しています。

2.うまくいった理由・いかなかった理由を考える
事実を見たら、
次に、
「なぜ、そうなったのか」
を考えます。
ここで大切なのは、
原因を一つに決めつけないことです。
たとえば、
仕事が予定より遅れたとしても、
- 準備が足りなかった
- 情報が不足していた
- 途中で別の作業が入った
など、
いくつかの要因が考えられます。
そこで、
「何が悪かったのか」
ではなく、
「どこで止まったのか」
「いつもと何が違ったのか」
「何があれば進めやすかったのか」
と少し分けて考えます。
うまくいったときも同じです。
何が良かったのか。
次にも使えることは何か。
と考えることで、
成功した経験からも学びを残せます。
うまくいかなかったことからは、変えるヒントを。
うまくいったことからは、続けるヒントを。
両方を見ることが大切です。
「なぜそうなったのか」を考えるときは、
一つの原因に決めつけず、少し分けて見ることが大切です。
物事を分け、比べながら違いを見る考え方は、以下の記事で詳しく紹介しています。

3.次に変えることを一つ決める
最後に、
「次は何を変えるか」
を決めます。
ここで、
たくさん変えようとする必要はありません。
むしろ、
一つに絞った方が、
何が効いたのかを確かめやすくなります。
たとえば、
会議が長くなった理由を振り返って、
「議題が多すぎた」
と考えたなら、
次回は、
「議題を3つまでにする」
と決めて試してみる。
少し良くなれば続ける。
変わらなければ、
別の部分を見直す。
こうすると、
振り返りが、
次の小さな実験
につながっていきます。
大きく変える必要はありません。
経験を見直し、
次に試すことを一つ決める。
その繰り返しで、
自分なりのやり方が少しずつ整っていきます。
振り返って見つけた改善案も、
最初から正解とは限りません。
「次はこうしてみよう」と仮に決め、
小さく試して確かめていく考え方は、以下の記事で紹介しています。

振り返るときに気をつけたい3つのこと
振り返りは、
やり方によっては、
自分を責める時間になってしまうことがあります。
また、
細かく考えすぎると、
続けること自体が負担になります。
そこで、
振り返るときは、
次の3つを意識するとよいと思います。
1.自分を責める振り返りにしない
うまくいかなかったとき、
「なぜできなかったのか」
と考え続けると、
「自分の努力が足りない」
「自分には向いていない」
と、
自分への評価に向かいやすくなります。
振り返りの目的は、
自分を責めることではありません。
大切なのは、
次に変えられるところを見つけること
です。
「なぜできなかったのか」ではなく、
「どこで止まったのか」
「何があれば進めやすかったのか」
「次は何を変えるか」
と問い直してみる。
すると、
視線が自分への評価から、
次の工夫へ移っていきます。
振り返っていると、
出来事ではなく自分自身を評価していることがあります。
そんなときは、
自分が何を考え、どう感じているのかを一歩離れて見ることも役立ちます。
自分の思考や感情を客観視する方法は、以下の記事で紹介しています。

2.失敗したことだけを見ない
振り返りでは、
できなかったことに目が向きがちです。
でも、
うまくいったことにも、
次に使えるヒントがあります。
たとえば、
いつもより仕事が早く進んだ。
習慣を無理なく続けられた。
そんなときも、
「何が良かったのだろう」
と考えてみます。
すると、
準備の仕方や、
時間の使い方、
進める順番など、
次にも使えそうなものが見つかることがあります。
失敗からは、
変えることを学ぶ。
うまくいったことからは、
続けることを学ぶ。
両方を見ることで、
振り返りから得られるものが増えていきます。
3.毎回深く考えすぎない
振り返りは、
毎回じっくり考える必要はありません。
日常であれば、
何が起きたか。
何に気づいたか。
次は何をするか。
この3つだけでも十分です。
一日の終わりに数分考える。
仕事が一区切りしたときに、
一つだけ気づきを残す。
それくらいでも、
振り返りはできます。
大切なのは、
完璧に分析することではありません。
経験をそのまま流さず、
少しだけ立ち止まること。
振り返りを重たくしすぎない方が、
続けやすくなります。
事例|習慣を振り返って、次のやり方を変える

振り返りは、
仕事だけでなく、
日々の習慣にも使えます。
たとえば、
「筋トレを続けようと思ったのに、数日できなかった」
とします。
そんなとき、
「自分は意志が弱い」
で終わらせずに、
3つの視点で振り返ってみます。
まず、
何が起きたのか。
夜になると疲れていて、
筋トレを始められない日が続いていた。
次に、
なぜそうなったのか。
夕食後に少し休んでから始めようとしても、
そのまま動きたくなくなっていた。
ここまで見ると、
「意志が弱い」
というより、
やる時間帯が自分に合っていなかったのではないか
と考えられます。
そこで最後に、
次に変えることを一つ決めます。
たとえば、
「夕食後ではなく、
風呂に入る前にやる」
と変えてみる。
そして、
数日試してみます。
続けやすくなれば、
そのやり方を残す。
うまくいかなければ、
また別の部分を見直す。
こうして振り返ると、
できなかった経験も、
ただの失敗ではなく、
自分に合うやり方を見つけるための材料
に変わります。
読書でも、
運動でも、
仕事の進め方でも同じです。
振り返りは、
「なぜダメだったのか」
と考え続けるためではなく、
「次は、どこを少し変えてみようか」
と考えるために使う。
その方が、
経験を次の行動につなげやすくなります。
振り返りを続けると、経験の見え方が変わる
振り返りを続けていると、
少しずつ経験の見え方が変わってきます。
以前なら、
「うまくいった」
「失敗した」
だけで終わっていた出来事も、
次に使える材料
として見られるようになります。
思うように進まなかった仕事も、
振り返ることで、
どこで止まったのか。
何が足りなかったのか。
次は何を変えればよいのか。
が見えてきます。
すると、
その経験は、
次の判断に使えるものになります。
うまくいった経験も同じです。
何が良かったのか。
次にも続けたいことは何か。
を考えることで、
自分なりのやり方が少しずつ見えてきます。
私は、
経験の数だけでなく、経験から何を残すかが大切
だと思っています。
振り返ることは、
過去に戻るためではありません。
過去の経験を使って、
次の自分を少し更新するための時間
です。
うまくいったことも、
うまくいかなかったことも、
そこから一つでも次に使えるものを見つけられれば、
経験は少しずつ自分の力になっていきます。
まとめ
振り返る力は、
過去を反省するためだけの力ではありません。
経験から学びを取り出し、次の行動につなげる力
です。
振り返るときは、
- 何が起きたのかを事実として見る
- うまくいった理由・いかなかった理由を考える
- 次に変えることを一つ決める
この3つを意識すると、
感想だけで終わりにくくなります。
大切なのは、
完璧に分析することではありません。
経験をそのまま流さず、
少し立ち止まること。
そこから一つ気づきを見つけ、
次に一つだけ変えてみる。
その繰り返しで、
経験は少しずつ自分の力になっていきます。
振り返りは、
過去を見るためではなく、次の一歩を少し良くするための思考
なのだと思います。

