構想力を鍛える|コンセプトから未来の全体像を描く3つの視点

構想力を鍛える|コンセプトから未来の全体像を描く3つの視点

良いアイデアが出ても、それだけで仕事や改革が前に進むとは限りません。

大切なのは、そのアイデアを全体の中にどう置くかです。

私は会社員時代、長くBPR(業務プロセス改革)に関わってきました。

その中では、目の前の問題を整理し、コンセプトを考えるだけでは足りませんでした。

そのコンセプトをもとに、

「業務全体はどう変わるのか」

「人の役割はどう変わるのか」

「システムはどうつながるのか」

「最終的に、どんな状態を目指すのか」

まで描く必要がありました。

私は、こうした考え方を「構想する」と捉えていました。

構想というと、大きな夢や遠い未来を描くことのように聞こえるかもしれません。

でも、私がBPRの現場で使っていた構想は、もっと実践的なものです。

コンセプトを軸に、これからつくる全体像を描く。

そして、その全体像から、必要な施策や進め方を考えていく。

構想があると、個別のアイデアがばらばらになりません。

それぞれの施策が、同じ方向へつながっていきます。

この記事では、BPRの現場で使ってきた経験をもとに、

構想力とは何か、そして未来の全体像をどう描けばよいのかを考えてみます。

目次

構想力とは、未来の全体像を描く力

構想力とは、未来の全体像を描く力

構想力とは、まだ形になっていない未来を、

ある程度まとまりのある姿として描く力です。

ただし、単に理想を思い描くこととは少し違います。

私がBPRの現場で考えていた構想には、必ず出発点がありました。

それが、

今、何が問題なのか。
そして、どんな方向に変えたいのか。

ということです。

たとえば、

「同じ情報を何度も入力している」

という問題があり、

そこから、

「情報は一度だけ取得し、必要なところで使えるようにする」

というコンセプトを置いたとします。

構想では、その先を考えます。

その考え方を実現したら、

業務の流れはどう変わるのか。

部署同士の関係はどう変わるのか。

人がやる仕事はどう変わるのか。

システムはどうつながるのか。

こうしたものを、ばらばらに考えるのではなく、

一つの全体像として描いていく。

これが構想です。

構想がないまま個別の施策を考えると、

一つひとつは良さそうでも、全体としてつながらないことがあります。

ある部署では効率化できても、別の部署では仕事が増える。

新しいシステムを入れても、業務の流れは以前のまま。

そんなことも起こります。

だからこそ、先に全体像を描いておくことが大切です。

私は構想を、

「これから、どんな状態をつくるのかを仮に描くこと」

だと考えています。

ここで「仮に」という言葉も大切です。

最初から完璧な未来図をつくる必要はありません。

まず方向を描き、考えながら修正していく。

構想は完成品ではなく、

進む方向を考えるための設計図

のようなものです。


構想を描く前には、目の前の問題を一段上から捉え、コンセプトをつくることも大切です。
具体と抽象を往復して考える方法は、以下の記事で紹介しています。

構想をつくる3つの視点

構想をつくる3つの視点

構想というと、大きな計画をつくることのように感じるかもしれません。

でも、最初から細かく考える必要はありません。

私は、構想を描くときは、次の3つを見ると考えやすいと思っています。

1.目指す状態を描く

最初に考えるのは、

「どんな状態になっていればよいか」

です。

ここでは、まだ細かな施策を決めません。

たとえば、

「入力作業を減らす」

ではなく、

「必要な情報が一度の入力で全体に使われている」

というように、実現したい状態を描きます。

大切なのは、

やることではなく、なった状態を考えること。

施策から考えると、今ある方法の延長になりやすくなります。

一方で、目指す状態から考えると、

その状態を実現するために、今とは違う方法も選べるようになります。

2.要素同士のつながりを描く

次に考えるのは、

「その状態をつくるには、何と何がつながる必要があるか」

です。

業務改革であれば、

  • 業務の流れ
  • 人の役割
  • 情報
  • システム
  • 部署同士の関係

などを見ます。

一つだけ変えても、全体が変わるとは限りません。

たとえば、

システムだけ新しくしても、業務の流れが昔のままなら、十分な効果が出ないことがあります。

だからこそ、

全体の中で、それぞれがどうつながっているか

を見る必要があります。

構想では、個別の施策より先に、このつながりを描いておくことが大切です。


構想では、個別の要素だけでなく、それぞれがどうつながっているかを見る必要があります。
全体の関係を捉える考え方は、以下の記事で紹介しています。

3.現在からそこまでの道筋を考える

最後に、

「今の状態から、どうやってそこへ進むか」

を考えます。

目指す姿が見えても、一度にすべてを変えることはできません。

そこで、

どこから始めるか。

何を先に変えるか。

何を後に回すか。

途中で何を確認するか。

を考えます。

ここまで考えると、構想が単なる理想ではなく、実行につながるものになります。

私は、構想では、

未来の姿と、そこへ向かう道筋の両方を描く

ことが大切だと思っています。

目指す状態を描く。

全体のつながりを見る。

そこまでの道筋を考える。

この3つを行き来しながら、構想を少しずつ具体的にしていきます。

事例|BPRでは、構想を「1枚の絵」にしていた

私がBPRの現場で構想を考えるときは、頭の中だけで終わらせませんでした。

最終的には、

目指す姿を1枚の絵にしていました。

業務の流れ。

人の役割。

情報の動き。

システムのつながり。

それぞれを別々に説明するのではなく、

「全体として、どう変わるのか」

が一目でわかるように描いていました。

たとえば、

「情報は一度だけ取得し、必要なところで使えるようにする」

というコンセプトがあったとします。

その場合、

どこで情報が発生するのか。

誰が最初に扱うのか。

その情報がどこへ流れるのか。

どの業務で使われるのか。

システムはどう支えるのか。

こうしたものを、一つの流れとして絵にします。

文章だけで考えていると、

それぞれの施策はわかっていても、

全体としてつながっているかどうかが見えにくいことがあります。

でも、1枚の絵にすると、

「ここが切れている」

「この役割が重複している」

「この情報は、どこにもつながっていない」

といったことが見えてきます。

構想を絵にすることで、

考えの抜けや矛盾にも気づきやすくなる

のです。

もう一つ大きかったのは、

関係者と同じものを見ながら話せることです。

BPRでは、業務部門、システム部門、管理側など、立場の違う人たちが関わります。

言葉だけで説明すると、

同じ言葉を使っていても、頭の中に描いているものが違うことがあります。

そこで1枚の絵を見せる。

すると、

「ここは違う」

「この流れならわかる」

「この役割は別の部署ではないか」

と、具体的に議論できるようになります。

私にとって構想とは、

単に未来を考えることではありませんでした。

未来の全体像を、みんなで見られる形にすること。

それが、1枚の絵を描く理由でした。


全体像が見えてきたら、次は何から始めるかを決めます。
やることの順番を考える方法は、以下の記事で紹介しています。

構想力があると、個別施策が一本につながる

構想力があると、個別施策が一本につながる

構想を描く意味は、未来の姿をきれいに見せることではありません。

大きいのは、

個別の施策を、一つの方向につなげられること

だと思います。

業務改革では、さまざまなアイデアが出てきます。

入力を減らす。

システムを連携する。

承認の流れを変える。

人の役割を見直す。

一つひとつは必要な施策です。

ただ、それぞれを別々に進めると、

「何のためにやっているのか」

が見えにくくなることがあります。

そこで、構想として全体像を描いておく。

すると、

「この施策は、全体のどこを変えるものなのか」

が見えるようになります。

優先順位を決めやすくなる

構想があると、すべての施策を同じように扱う必要がなくなります。

目指す姿に近づくために、

何を先にやるのか。

何は後でもよいのか。

そもそも、この施策は必要なのか。

を判断しやすくなります。

判断の基準が、

「できそうだから」

ではなく、

「構想の実現に必要だから」

に変わるのです。

関係者に説明しやすくなる

構想は、自分のためだけに描くものでもありません。

1枚の絵があれば、

「私たちは、ここを目指しています」

と全体像を共有できます。

そのうえで、

「今回やるのは、この部分です」

と説明できる。

個別の施策だけを説明するよりも、

なぜそれをやるのかが伝わりやすくなります。

行動計画につながる

全体像が見えると、次に考えることも具体的になります。

まず何から始めるか。

誰が関わるか。

どこまでを最初の範囲にするか。

次の段階では何を変えるか。

構想が、少しずつ行動計画に変わっていきます。

私はBPRの現場で、

構想は、未来の絵と現在の行動をつなぐもの

だと感じていました。

大きな方向だけでも足りない。

細かな施策だけでも足りない。

全体像があるからこそ、

一つひとつの行動が、同じ方向へつながっていくのです。

構想するときに気をつけたいこと

構想は、未来を自由に描けばよいわけではありません。

実際に使える構想にするには、いくつか気をつけたいことがあります。

1.理想だけで終わらせない

構想では、目指す姿を描きます。

ただし、理想を並べるだけでは、実行につながりません。

大切なのは、

「今の状態から、どうすればそこへ近づけるか」

まで考えることです。

理想と現実の間に、どんな差があるのか。

何を変える必要があるのか。

どこから始められるのか。

ここまで考えて、はじめて構想が使えるものになります。

2.現実から離れすぎない

構想は、今の延長だけを考えるものでもありません。

一方で、現実を無視しすぎると、実現できない絵になってしまいます。

人の役割。

予算。

時間。

システム。

組織の事情。

こうした制約も見ながら考える必要があります。

私は、

「少し背伸びすれば届く未来」

くらいを意識していました。

現実に寄りすぎると改革にならない。

離れすぎると実行できない。

その間を探すことが大切です。

3.最初から細部まで決めすぎない

構想を描くと、細かいところまで決めたくなることがあります。

でも、最初からすべてを固める必要はありません。

構想は、進めながら修正していくものです。

まずは、

  • 目指す状態
  • 全体のつながり
  • 大きな道筋

が見えていれば十分です。

実際に動き始めると、

想定していなかった問題が出てきます。

新しいアイデアが出ることもあります。

そのたびに構想を見直していけばよい。

大切なのは、

完成した未来図をつくることではなく、進む方向を見失わないこと

だと思います。


構想は、最初から完成させる必要はありません。
仮の答えを置いて小さく試す方法は、以下の記事で紹介しています。

まとめ

構想力とは、

コンセプトをもとに、これからつくる全体像を描く力

です。

目指す状態を考える。

人や業務、情報、システムのつながりを見る。

そして、今の状態からそこへ向かう道筋を考える。

私がBPRの現場で構想をつくるときは、最終的にそれを1枚の絵にしていました。

1枚にすることで、

全体のつながりが見える。

抜けや矛盾に気づける。

関係者とも同じものを見ながら話せる。

そして、個別の施策がどこにつながっているのかも見えやすくなります。

構想は、未来を当てるためのものではありません。

最初から完璧な計画をつくるものでもありません。

大切なのは、

「どこへ向かうのか」を仮に描いておくこと。

全体像があるからこそ、

今、何をするのか。

何を先にするのか。

何をやめるのか。

という具体的な行動も決めやすくなります。

私は、構想とは、

未来の絵と、今の行動をつなぐもの

だと思っています。

目の前の課題だけを見るのではなく、

その先にどんな状態をつくりたいのか。

一度、1枚の絵にしてみる。

そこから、次に進むための道筋が見えてくるかもしれません。

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