考えているのに、
なぜか話が前に進まない。
仕事では、そんな会議を何度も見てきました。
参加者は意見を出している。
それぞれ真剣に考えている。
それでも話がまとまらない。
原因の一つは、
「今、何を考えるのか」が決まっていないこと
です。
たとえば、
新しい企画について話す会議でも、
市場のことを考えるのか。
価格を考えるのか。
実行できる体制を考えるのか。
そもそも、この企画を進めるべきかを考えるのか。
ここが曖昧だと、
参加者はそれぞれ違う場所を考え始めます。
どの意見も間違っていない。
でも、
考えている論点が違う。
だから話がかみ合わないのです。
これは、
一人で考えるときも同じです。
「これからの仕事について考えよう」
「新しいことを始めるか考えよう」
と思っても、
テーマが大きいままだと、
考えはあちこちへ広がっていきます。
そんなときは、
すぐに答えを探すのではなく、
まず、
「今、自分は何について考えるのか」
を決めたほうが進みやすくなります。
そこで必要になるのが、
論点を明確にすることです。
この記事では、
論点を難しい思考技術としてではなく、
「今、何を考えるのかを決めること」
として捉えます。
そして、
自分で考えるべきことを見つけるための3つの視点を紹介します。
論点とは「今、何を考えるか」を決めること

論点という言葉は、
少し難しく聞こえるかもしれません。
でも、ここではシンプルに考えます。
たとえば、
「仕事について考える」
というだけでは、まだ広すぎます。
今の仕事を続けるのか。
働き方を変えるのか。
何に不満を感じているのか。
これから何を大切にしたいのか。
同じ「仕事」というテーマでも、
どこを考えるかによって、
考える内容は変わります。
つまり、
テーマと論点は違います。
テーマは、
考える対象の大きなまとまり。
論点は、
その中で、
今、明らかにしたいこと
です。
会議でも、
「新しい企画について話す」
だけでは不十分です。
市場性を見るのか。
予算を考えるのか。
実行体制を考えるのか。
そもそも進めるべきかを考えるのか。
ここが曖昧だと、
話はすぐに広がります。
一人で考えるときも同じです。
「これからどうしよう」
ではなく、
「今の働き方をこのまま続けたいのか」
まで絞る。
それだけで、
考える場所が見えやすくなります。
そして、
論点と問いも少し違います。
論点は、
何を考えるかを決めるもの。
問いは、
その論点を考えやすい形にするもの。
まず論点を決める。
そのあとで問いをつくる。
この順番にすると、
思考は散らかりにくくなります。
考えるべきことを見つける3つの視点

1.何が曖昧なのかを見る
論点を見つけるとき、
最初に見るのは、
自分は何が分からなくて止まっているのか
です。
たとえば、
「新しいことを始めたいけれど、動けない」
とします。
この中には、
- 本当にやりたいのか分からない
- 今始めるべきか分からない
- 時間をつくれるか分からない
- 何から始めればいいか分からない
と、
いくつもの曖昧さが混ざっているかもしれません。
このまま、
「どうすれば動けるだろう」
と考えても、
答えは広がりやすくなります。
そこでまず、
「今、自分は何が分からないのか」
を分けてみます。
もし、
「時間がないのか、本当にやりたいのかが分からない」
と書けたなら、
考えるべき候補は少なくとも二つに分かれます。
時間の問題なのか。
やりたいことの問題なのか。
ここまで分かるだけでも、
考える場所はかなり見えやすくなります。
すぐに答えを探すのではなく、
まず曖昧になっている部分を分ける。
そこから始めると、
論点の候補が見えてきます。
2.何が決まれば前に進むのかを見る
曖昧なことを分けたら、
次に見るのは、
「何が決まれば、次へ進めるのか」
です。
考えることが多いと、
全部を順番に考えたくなります。
でも実際には、
一つ決まるだけで、
ほかのことも考えやすくなる場合があります。
たとえば、
「転職するか迷っている」
とします。
収入。
仕事内容。
通勤。
年齢。
家族。
将来性。
考えることはいくつもあります。
でも、
今すぐ全部を決める必要はありません。
もし、
「そもそも今の働き方を変えたいのか」
が決まっていないなら、
転職先の条件を細かく考えても、
なかなか前には進みません。
逆に、
「今の働き方は変えたい」
と決まれば、
次に何を考えるかが見えやすくなります。
ここで大切なのは、
一番大きな問題を選ぶことではありません。
今の状態を前へ動かすために、最初に決める必要があることを選ぶこと。
です。
答えが出ないときは、
考える力が足りないのではなく、
考える順番が決まっていないことがあります。
そんなときは、
「何が決まれば、次へ進めるだろう」
と考えてみます。
それだけで、
今見るべき論点が絞りやすくなります。
3.どこを考えると結果が変わるのかを見る
最後に見るのは、
「どこを考えると、全体が変わるのか」
です。
論点候補がいくつか見えても、
すべてが同じ重要さとは限りません。
たとえば、
「新しいことを始めたい」
と考えているとします。
時間をどうつくるか。
いつ始めるか。
何を使うか。
どこでやるか。
考えられることはいろいろあります。
でも、
もし本当の問題が、
「そもそも自分は、それを本当にやりたいのか」
だとしたら、
時間の使い方を工夫しても、
前には進みにくいかもしれません。
逆に、
「これはやりたい」
と決まれば、
始め方や時間の使い方は考えやすくなります。
つまり、
論点を選ぶときは、
細かいことより、
そこが決まると、ほかのことも動きやすくなる場所
を見ることが大切です。
表面に見えている問題だけでなく、
その奥にある、
影響の大きなポイントを見る。
そこで、
「この中で、一つ決まるとほかも変わりそうなのはどれだろう」
と考えてみます。
それが、
今考える価値の高い論点かもしれません。
今考える論点を一つに絞る

3つの視点で見ていくと、
いくつかの論点候補が出てきます。
最後は、
「今はこれを考える」
と一つに絞ります。
ここで、
最初から正しい論点を選ぼうとしなくて構いません。
論点は、
考えている途中で変わることもあります。
大切なのは、
完璧に決めることではなく、
その時点で、
考える場所をはっきりさせること
です。
たとえば、
「これからの働き方」を考えているとします。
論点候補として、
- 今の仕事を続けたいのか
- 何を大切にしたいのか
- 収入をどこまで重視するのか
- どんな時間の使い方をしたいのか
が出てきた。
その中で、
「何を大切にしたいのか」が決まれば、
ほかのことも考えやすくなりそうなら、
まずそこを論点にします。
つまり、
「これからの働き方で、自分は何を大切にしたいのか」
と置く。
ここまで絞れると、
次に何を考えればいいかが見えやすくなります。
もし考えてみて、
「やはり違う」
と感じたら、
論点を置き直せばいいのです。
まず一つ決める。
考える。
必要なら変える。
そのくらいの柔らかさで使うほうが、
思考は前へ進みやすくなります。
論点が決まったら問いに変える
論点を一つに絞ると、
次にやることが見えてきます。
それが、
問いに変えること
です。
論点は、
何について考えるかを決めるもの。
問いは、
その論点を実際に考えられる形にするものです。
たとえば、
論点が、
「これからの働き方で、自分は何を大切にしたいのか」
だとします。
そこから、
- 今の働き方で満足していることは何か
- 変えたいことは何か
- 収入と時間なら、今はどちらを重視したいか
- 5年後も続けたい働き方はどんなものか
と問いをつくれます。
論点が決まっているからこそ、
問いも散らかりにくくなります。
まず、
何を考えるかを決める。
そのあとで、
問いをつくる。
さらに、
問いに対して仮の答えを置けば、
仮説になります。
そこから情報を集め、
最後に判断していきます。
つまり、
論点を決める
→ 問いをつくる
→ 仮説を置く
→ 判断する
という流れです。
良い問いのつくり方については、
別の記事で詳しく紹介しています。

また、
自分だけでは論点候補が見えにくいときは、
AIを使って視点を広げる方法もあります。

1分ワーク|今考える論点を一つ決める
ここまでの内容を、
短く試してみます。
今、
少し気になっていることを一つ書いてください。
仕事でも、
習慣でも、
これからの生き方でも構いません。
次に、
そのテーマについて、
「自分は何が分からなくて止まっているのか」
を3つほど書きます。
たとえば、
「これからの働き方」なら、
- 今の仕事を続けたいのか分からない
- 何を優先したいのか分からない
- いつ動くべきか分からない
といった形です。
その中から、
次の2つを見ます。
「何が決まれば、次へ進めるか」
「どこが決まると、ほかも変わりそうか」
そして、
今考えるものを一つ選びます。
最後に、
一文にします。
「今、自分が考えるのは____だ」
ここまでできれば十分です。
まだ答えを出す必要はありません。
考えてみて違うと感じたら、
論点はあとから置き直せばいいのです。
論点が決まると、
次に考えることも見えやすくなります。
問いをつくる。
仮の答えを置く。
そして、
必要な材料を見ながら判断する。
思考は、そんなふうにつながっていきます。
仮説を立てながら考えを前へ進める方法はこちらの記事で紹介しています。

迷ったときに自分なりの判断をするための考え方はこちらで整理しています。

まとめ|答えを探す前に、何を考えるかを決める
考えているのに、
なかなか前に進まない。
そんなときは、
答えが見つからないのではなく、
何について考えるのかが決まっていない
のかもしれません。
論点を見つけるときは、
- 何が曖昧なのかを見る
- 何が決まれば前に進むのかを見る
- どこを考えると結果が変わるのかを見る
この3つの視点で考えてみます。
そして最後に、
「今はこれを考える」
と一つに絞ります。
論点が決まれば、
次にどんな問いをつくればいいのかも見えやすくなります。
そこから、
仮説を置き、
必要なことを調べ、
判断していくことができます。
会議でも、
一人で考えるときでも、
話が広がりすぎたと感じたら、
一度、
「そもそも、今は何を考えるべきなのだろう」
と問い直してみてください。
答えを急ぐ前に、
まず考える場所を決める。
それだけで、
思考は前へ進めやすくなります。

