何かを決めようとしているのに、なかなか答えが出ない。
情報を集めても迷う。
考えるほど、選択肢が増えていく。
そんなことはないでしょうか。
判断力というと、
「すぐに決められる人」
「迷わず答えを出せる人」
を思い浮かべるかもしれません。
でも、早く決めることと、よく判断することは同じではありません。
すぐに決めた方がいいこともあれば、少し考えた方がいいこともあります。
場合によっては、
「今は決めない」
という判断もあります。
私は25年以上、プロジェクトリーダーとして仕事をしてきました。
その中で何度も判断する場面がありましたが、まず考えていたのは、
「今、何を決める必要があるのか」
ということでした。
論点が曖昧なままでは、いくら情報を集めても決められません。
そして、何を基準にするか。
どこまで影響するか。
今決めるべきか。
そうしたことを整理してから判断していました。
振り返ると、判断力とは、
早く正解を出す力ではなく、何を基準に考え、どこまで考えたら決めるかを見極める力
なのだと思います。
この記事では、
判断に迷ったときに見るべきポイントを3つに整理しながら、判断力を高めるための考え方を紹介します。
判断力は「早く決める力」ではない

判断力がある人というと、
迷わない人。
決断が早い人。
すぐに答えを出せる人。
そんなイメージがあります。
仕事では、判断の速さが求められる場面もあります。
私自身、プロジェクトリーダーをしていた頃は、基本的に即断即決を意識していました。
判断が止まると、プロジェクト全体の動きも止まってしまうからです。
ただし、何でも早く決めればいいわけではありません。
影響の小さなことなら、その場で決める。
一方で、多くの人や工程に影響することなら、少し立ち止まる。
影響する範囲はどこまでか。
問題が起きたときに修正できるか。
今ある情報だけで決めてよいか。
そうしたことを確認してから判断していました。
つまり、大切なのは、
その判断に、どれだけ考える必要があるかを見極めること
です。
判断には、すぐ決めてよいものもあれば、時間をかけた方がよいものもあります。
場合によっては、
「今は決めない」
という選択もあります。
必要な情報がまだ足りない。
少し待てば状況が変わる。
感情が大きく動いている。
そんなときまで、無理に答えを出す必要はありません。
もちろん、ただ先送りするのとは違います。
「何が分かれば決めるのか」
「いつまでに決めるのか」
を決めたうえで待つ。
それも一つの判断です。
判断力には、決める力だけでなく、
決めるべきときと、まだ決めない方がいいときを見分ける力
も含まれているのだと思います。
判断するときに見る3つのこと

判断に迷ったとき、私はまず次の3つを整理します。
何を決めるのか。
何を基準に決めるのか。
今、決める必要があるのか。
この3つが曖昧なままだと、情報を増やしても判断しにくくなります。
1. 何を決めるのか
最初に整理したいのは、
「今、何を決めようとしているのか」
ということです。
たとえば、
「この仕事をどうするか」
だけでは、まだ曖昧です。
引き受けるかどうかを決めたいのか。
今やるかどうかを決めたいのか。
自分でやるか、誰かに任せるかを決めたいのか。
それによって、考えることは変わります。
私はプロジェクトで問題が起きたときも、すぐに解決策を探すのではなく、
「今、決めなければならないことは何か」
を先に整理していました。
問題が大きく見えていても、実際に決めるべきことは一つだけ、ということもあります。
論点が曖昧なままでは、どれだけ話し合っても判断は進みません。
迷ったときほど、まず判断する対象を一文にしてみる。
それだけでも、必要な情報が見えやすくなります。
もし「何を決めるか」ではなく、
「やることが多くて何から手をつけるか」に迷っているなら、
まず優先順位を整理した方がよいかもしれません。
「今やる意味があるか」「自分がやる意味があるか」など、
何を先にするかを考える方法はこちらで紹介しています。

2. 何を基準に決めるのか
次に必要なのが、判断の基準です。
選択肢を比べるときには、
時間。
費用。
効果。
リスク。
自分がやる意味。
あとから修正できるか。
など、いくつもの基準があります。
ただ、すべてを同じように満たそうとすると、かえって決めにくくなります。
私がプロジェクトで大きな基準にしていたのは、
その判断が、プロジェクトのコンセプトに合っているか
ということでした。
目の前では効率がよさそうでも、プロジェクト全体が目指す方向から外れるなら選ばない。
逆に、一時的には負担が増えても、コンセプトに沿っているなら進めることもありました。
判断基準があると、選択肢を一つずつ細かく比較しなくても、
「これは違う」
「こちらの方が方向に合っている」
と絞りやすくなります。
判断力とは、
選択肢をたくさん比較する力ではなく、何を基準に比較するかを決める力
でもあるのだと思います。
3. 今、決める必要があるのか
最後に見るのが、判断するタイミングです。
私は基本的には即断即決を意識していました。
ただし、影響の大きな判断では別です。
多くの人や工程に影響するなら、
どこまで影響するのか。
どの程度の影響があるのか。
問題が起きたときに修正できるのか。
をできるだけ確認してから決めていました。
一方で、待っても状況がほとんど変わらないなら、考え続ける意味はあまりありません。
そこで、
「今決めないと、何が起きるだろう?」
と考えてみます。
今決めないことで誰かが動けないなら、決める必要があります。
反対に、少し待つことで重要な情報が増えるなら、待つ意味があります。
何を選ぶかだけではなく、
いつ決めるかも、判断する。
この視点を持つと、必要以上に急いだり、反対に考え続けたりすることが減ってきます。
判断できないときは、「何が足りないのか」を分ける

判断できないとき、
「もっと考えよう」
「もう少し調べよう」
としがちです。
でも、決められない理由はいつも情報不足とは限りません。
たとえば、
- 必要な情報が足りない
- 判断の基準が決まっていない
- 選択肢が多すぎる
- 感情が大きく動いている
- まだ決める時期ではない
といった違いがあります。
ここを分けないまま情報を増やすと、かえって迷いが深くなることがあります。
情報が足りないなら、必要な情報だけ集める
本当に情報が足りないなら、調べればいい。
ただし、やみくもに集めるのではなく、
「何が分かれば、自分は決められるのか」
を先に考えます。
予算が分かれば決められる。
影響範囲が分かれば決められる。
担当する範囲が分かれば決められる。
という具合です。
必要な情報が見えると、どこまで調べればいいかも分かります。
情報は多ければ多いほどいいわけではありません。
判断に必要なのは、
決めるために必要な情報がそろっているか
です。
基準が曖昧なら、情報を増やしても決まらない
必要な情報はそろっているのに決められないこともあります。
そんなときは、判断基準が曖昧なのかもしれません。
価格も大事。
時間も大事。
失敗もしたくない。
将来性もほしい。
すべてを満たそうとすると、どの選択肢にも決め手がなくなります。
そこで、
「今回は、何を一番大切にするのか」
を一つ決めます。
「情報が足りないのか」
「基準が決まっていないのか」
を分けるだけでも、次にやることは変わります。
選択肢そのものが多すぎるときは、判断する前に「やらないこと」を決める方法もあります。
考えなくていいものを先に減らすことで、本当に判断したいことが見えやすくなります。

感情が大きいときは、少し距離を取る
判断できない理由が、情報や基準ではないこともあります。
腹が立っている。
不安が強い。
焦っている。
そんなときは、考えているようで、感情に引っ張られている場合があります。
無理に決めず、
一晩置く。
散歩する。
少し別のことをする。
それだけで見え方が変わることもあります。
判断に迷ったら、
「今の自分には、何が足りないのか」
と問い直してみる。
そうすると、
「もっと考える」
という曖昧な状態から、
次に何をすればいいのか
が見えやすくなります。
判断する以前に、頭の中で複数の考えが混ざっていることもあります。
そんなときは、答えを出そうとする前に、一度考えを整理してみる方法もあります。

良い判断は「結果」だけでは測れない
判断したあと、
「この選択でよかったのだろうか」
と振り返ることがあります。
結果がうまくいけば、
「良い判断だった」
と思いやすい。
反対に、結果が悪ければ、
「判断を間違えた」
と感じます。
でも、判断の良し悪しを結果だけで決めるのは少し危険です。
判断した時点では、その後に何が起きるかをすべて知ることはできないからです。
結果と判断の過程は分けて考える
十分に考えずに決めたことが、たまたまうまくいくことがあります。
逆に、
必要な情報を見て、
判断基準を決め、
その時点では妥当だと思える判断をしても、
予想外のことが起きることもあります。
だから振り返るときは、
「結果がどうだったか」だけでなく、「何を見て、どう決めたか」
を確認します。
何を決めようとしていたのか。
何を基準にしたのか。
必要な情報はそろっていたか。
その時点で決める必要があったか。
ここを見ると、次の判断に生かせるものが見えてきます。
決めたあとは、必要なら修正する
私はプロジェクトリーダーとして判断した以上、その結果は自分の責任だと考えていました。
もちろん、判断したことがすべて予定どおりに進むわけではありません。
問題が起きることもあります。
そんなときに、
「誰の判断が悪かったのか」
を考えるより、
自分が動いて、次の対策を考える。
それがリーダーの役割だと思っていました。
この経験から感じるのは、判断は一度決めたら終わりではないということです。
決める。
結果を見る。
必要なら修正する。
そこまで含めて、判断なのだと思います。
判断力は、未来の正解を当てる力ではありません。
その時点で考えるべきことを考えて決め、違えば修正していく力。
そう考えると、判断することへの怖さも少し減ってきます。
最初から正解を決めようとせず、「ひとまずこう考える」と仮に決めて、小さく試す方法もあります。
正解が分からないときに、仮説を立てて動く考え方はこちらで紹介しています。

1分ワーク|迷っていることを3つの問いで整理する
最後に、判断に迷ったときに使える簡単なワークを紹介します。
最近、決めきれずにいることを一つ思い浮かべてください。
そして、次の3つを考えてみます。
1. 私は今、何を決めようとしているのか。
「どうしよう」ではなく、
「〇〇するかどうか」
まで一文にしてみます。
2. 今回、一番大切にする基準は何か。
時間なのか。
費用なのか。
自分がやる意味なのか。
あとから修正できることなのか。
すべてを満たそうとせず、今回は何を重く見るのかを決めます。
3. 今、本当に決める必要があるか。
今決めないと何が起きるのか。
少し待てば、判断に必要な情報が増えるのか。
ここまで整理すると、
「なんとなく決められない」
という状態から、
何を考えればいいのか
が見えやすくなります。
すぐに答えを探す前に、
判断そのものを整理する。
まずは、この3つの問いから始めてみてください。
まとめ
判断力というと、すぐに答えを出すことや、迷わず決めることを思い浮かべがちです。
でも、大切なのは速さだけではありません。
何を決めるのかを明確にする。
判断する基準を持つ。
そして、いつ決めるべきかを見極める。
情報が足りなければ調べる。
基準が曖昧なら、一番大切にするものを決める。
まだ決めるべきではないなら、少し待つ。
そして、一度決めたあとも、結果を見ながら必要なら修正していく。
判断力とは、
何を基準に考え、どこまで考えたら決めるかを見極める力
なのだと思います。
未来を完全に予測することはできません。
だからこそ、正解を当てようとするより、
その時点で考えるべきことを考え、自分なりの基準で決める。
そして違ったら、また修正する。
その積み重ねが、自分なりの判断力を育てていくのではないでしょうか。
年齢を重ねてから
「以前より判断に時間がかかるようになった」と感じる場合は、判断力が落ちたとは限りません。
人生後半ならではの迷いと判断の変化については、こちらの記事で詳しく整理しています。


