人生は積み重ね|経験を次の力につなげる3つの考え方

人生は積み重ね|経験を次の力につなげる3つの考え方

長く仕事をしてきて、最近しみじみ思うことがあります。

人生は、結局、積み重ねなのだと思います。

学校では、基礎の上に応用を重ねます。

仕事も同じです。

一つ覚える。

一つ経験する。

失敗する。

人から教わる。

そうして身につけたものが、次の仕事の土台になっていきます。

私自身、新人時代に製造現場で学んだことが、
その後の設計やBPR、まったく知らない分野での仕事にもつながっていきました。

振り返ると、経験はただ増えていたのではありません。

前に身につけたものの上に、次の経験を重ねていたのです。

今回は、そんな「人生の積み重ね」について考えてみます。

目次

積み重ねは、単なる足し算ではない

積み重ねは、単なる足し算ではない

積み重ねというと、

経験が一つ増える。

知識が一つ増える。

できることが一つ増える。

そんな足し算をイメージするかもしれません。

もちろん、それも積み重ねです。

でも、仕事を続けていると、それだけではないと感じます。

前に身につけたものが、次の経験の見方を変えていくのです。

たとえば、新しい仕事に移ったとき。

その仕事の知識は、まだありません。

でも、これまで身につけた考え方や仕事の進め方まで、
すべてなくなるわけではありません。

人の話をどう聞くか。

仕事をどう見るか。

分からないことを、どこから確かめるか。

問題が起きたとき、何を手がかりに考えるか。

そうしたものは、次の仕事にも持っていけます。

そして、新しい経験をすると、それまで持っていたものと結びついていきます。

前の経験が、新しい経験を理解する助けになる。

新しい経験が、前に身につけた力を少し変える。

その繰り返しで、できることも、物事の見方も少しずつ変わっていきます。

だから私は、積み重ねを単純な足し算とは考えていません。

経験Aの次に、経験Bを置く。

さらに経験Cを置く。

それだけではない。

前の経験を土台にして、その上に次の経験を重ねていく。

そのイメージの方が近いと思っています。

すべての経験が、そのまま役に立つわけではありません。

うまくいかなかったこともあります。

遠回りしたこともあります。

それでも、

その経験を通して身につけた考え方や判断の仕方が、後になって別の場面で生きることがあります。

積み重ねとは、今日の一歩を、昨日までの自分の上に置いていくこと。

その一歩が、次の経験を受け止める土台になっていくのだと思います。

最初の経験が、仕事の土台になった

私が新人として最初に配属されたのは、生産技術部門でした。

そこで、製造部門の人たちから仕事を教わりました。

年齢でいえば、父親くらいの人たちです。

経験も知識も、私とは比べものになりません。

私はそこで、

現場へ行く。

実際の仕事を見る。

人の話を聞く。

数字や資料だけで判断しない。

ということを、徹底的に教えられました。

今振り返ると、ここで身につけたのが「現場を見る力」だったのだと思います。

当時は、それが特別な力になるとは考えていませんでした。

仕事をするなら、現場を見るのは当たり前。

むしろ、そんな感覚でした。

その後、設計部門へ異動しました。

仕事は大きく変わり、
図面や技術、製品の仕組みなど、新しい知識を身につけなければなりません。

私にとっては、新しい世界でした。

でも、生産技術で身につけたものまでなくなったわけではありません。

設計の仕事をしながらも、

「これは現場でどう使われるのか」

「実際には、どんな作業になるのか」

「使う人は、どこで困るのか」

と考える癖が残っていました。

つまり、設計の知識をゼロから積んだのではなく、

現場を見る力の上に、設計の知識が積み重なっていった

のだと思います。

さらに、その設計部門でBPRを担当するようになりました。

業務改革では、
目の前に見えている問題だけを変えても、うまくいかないことがあります。

時間がかかっている。

ミスが多い。

仕事が複雑になっている。

こうした現象だけを見て、

「時間を短くしよう」

「チェックを増やそう」

と考えても、本当に変えるべきところを外してしまうことがあります。

だから私は、まず現場を徹底的に見るようになりました。

仕事の流れを追う。

人の話を聞く。

前後の工程を見る。

なぜ、このやり方になっているのかを確かめる。

そうしていくうちに、
表面に見えている問題ではなく、その奥にあるものを考えるようになりました。

「本当の問題は、どこにあるのか」

「どこを変えれば、全体がよくなるのか」

そう考える経験を何度も重ねる中で、

今度は問題の本質を捉える力が鍛えられていきました。

現場を見る力があり、その上に設計の知識が重なり、

さらにBPRの経験を通して本質を捉える力が育っていった。

一つひとつは別の仕事でした。

でも、後から見ると、ちゃんとつながっていたのです。

環境が変わっても、経験は残る

その後、私はそれまでとはまったく違う分野へ異動しました。

BPRを担当すること自体は同じでしたが、扱う業務の中身はほとんど知りません。

業務知識だけを見れば、かなりゼロに近い状態でした。

新しい分野へ移ると、

「また一から覚え直さなければならない」

と感じることがあります。

でも、実際に仕事を始めてみると、
すべてがゼロになったわけではありませんでした。

現場へ行く。

人の話を聞く。

仕事の流れを見る。

前後のつながりを確認する。

そして、

「この仕事は、どういう仕組みで成り立っているのか」

と考える。

これは、以前から何度もやってきたことです。

そのため、業務そのものは知らなくても、
仕事の全体像をつかむまでには、それほど時間がかかりませんでした。

ここでも、それまで身につけた現場を見る力や、
本質を捉える力が生きていたのだと思います。

ただし、知らない分野には、知らない分野なりの難しさがあります。

私は、その業務を実際に経験してきたわけではありません。

細かな仕事の意味や、現場ならではの困りごとは、
そこで働いている人にしか分からないことがあります。

だから、自分一人ですべてを理解しようとしてもうまくいきません。

そこで必要になったのが、メンバーの力でした。

詳しい人に聞く。

意見を出してもらう。

違う立場の考えをつなぐ。

役割を決める。

節目で方向をそろえる。

そうしたことを繰り返す中で、

今度はプロジェクトマネジメントの力が少しずつ身についていきました。

ここでも、積み重ねは続いていました。

現場を見る力がある。

本質を捉える力がある。

そこに今度は、

人の力を借りながら、チームで前へ進める力

が加わったのです。

新しい環境に移ると、これまでの経験が使えなくなったように感じることがあります。

でも、知識を学び直すことと、それまで積み重ねてきた力を失うことは同じではありません。

環境が変わることで、むしろ自分が何を身につけてきたのかが見えてくることもあります。

積み重ねると、見えるものが変わる

積み重ねると、見えるものが変わる

経験を積むと、できることが増えていきます。

知識が増える。

判断が早くなる。

仕事の進め方が分かる。

それは、とても分かりやすい変化です。

でも、長く仕事をしてきて感じるのは、もう一つあります。

経験を積むほど、同じものを見ても、見えるものが変わっていく。

ということです。

新人の頃は、目の前の仕事を覚えることで精いっぱいでした。

何をすればいいのか。

どうすれば失敗しないのか。

まずは、自分の担当する範囲を見ることしかできません。

ところが経験を重ねると、少しずつ視野が広がっていきます。

この仕事は、前の工程とどうつながっているのか。

なぜ、このやり方になっているのか。

誰が困っているのか。

どこに無理があるのか。

このまま続けると、何が起きるのか。

以前なら気づかなかったことが、少しずつ見えるようになります。

BPRの仕事でも同じでした。

最初は、

「ここに問題がある」

としか見えなかったものが、経験を重ねるうちに、

「なぜ、この問題が起きているのか」

「問題は、この場所だけにあるのか」

「どこを変えれば、全体がよくなるのか」

まで考えるようになりました。

一つの問題を、点ではなく、その周りとのつながりで見るようになったのだと思います。

これは、単に知識が増えたからだけではありません。

現場を見た経験。

設計を学んだ経験。

改革に取り組んだ経験。

うまくいかなかった経験。

人と一緒に仕事を進めた経験。

そうしたものが重なり、物事を見る解像度が上がっていったのでしょう。

積み重ねによって増えるのは、知識やスキルだけではありません。

何を見るか。
どこを見るか。
どう考えるか。

そこまで変わっていきます。

同じものを見ても、以前とは違うものが見えるようになる。

これも、積み重ねが人を成長させる大きな理由の一つだと思います。

何を積み重ねればいいのか

何を積み重ねればいいのか

積み重ねが大切だと分かっても、

「では、何を積み重ねればいいのか」

と思うかもしれません。

私は、特別なことを続ける必要はないと思っています。

大切なのは、目の前の経験をその場だけで終わらせず、次へ持っていくことです。

1.経験から一つ持ち帰る

仕事では、毎日の出来事がすぐに流れていきます。

うまくいった。

失敗した。

人に教えてもらった。

思ったように進まなかった。

そのまま次の仕事へ進めば、経験はただの出来事で終わります。

でも、少しだけ立ち止まって、

「何を学んだだろう」

「次に使えそうなことは何だろう」

と考えてみる。

大きな振り返りでなくてもかまいません。

一つ気づく。

一つ覚える。

一つ次へ持っていく。

それだけでも、経験は自分の中に残りやすくなります。

2.これまでの経験を、次で使ってみる

新しい仕事に入ると、

「これは初めてだから、一から覚えなければならない」

と思いがちです。

もちろん、新しい知識は必要です。

でも、すべてが初めてとは限りません。

これまで身につけたものの中に、

似た考え方。

使えそうな進め方。

自分なりの仕事の見方。

があるかもしれません。

新しい経験に出会ったときほど、

「これまでの何が、ここでも使えるだろう」

と考えてみる。

そうすると、過去の経験と今の経験がつながり始めます。

3.大きな成果より、次の一歩を積む

積み重ねというと、

毎日大きな努力を続けなければならないように感じるかもしれません。

でも、毎日大きく前へ進む必要はありません。

本を少し読む。

分からないことを一つ調べる。

人の話を聞く。

一度試してみる。

失敗した理由を考える。

昨日より少しだけ分かることを増やす。

そんな小さな一歩でも、次の経験の土台になります。


何をすればいいか分からないときは、正解を決めてから動く必要はありません。
小さく試しながら次の一歩を見つける方法は、以下の記事でも紹介しています。


人生を一度に大きく変えようとしなくてもいい。

今日、自分の上に何を一つ積むか。

まずは、そこからでいいのだと思います。


人生を変えるというと、大きな決断を想像しがちです。
でも、小さく見直しながら進むことも、人生を更新する一つの方法です。

経験は、あとから価値に変わる

経験をしている最中は、それが将来どんな意味を持つのか分からないことがあります。

私も、新人時代に現場で学んでいたとき、

それが後のBPRにつながるとは考えていませんでした。

そのときは、目の前の仕事を覚えることで精いっぱいです。

でも、後から振り返ると、

現場で学んだこと。

設計で身につけたこと。

業務改革で考えてきたこと。

人と一緒に仕事を進めた経験。

それぞれが少しずつつながっていました。

当時は別々に見えていた経験が、
あとになって一つの流れとして見えてくることがあります。

「あの経験があったから、ここで考えられた」

「あの失敗があったから、今回は早く気づけた」

「以前身につけたことが、別の場所で使えた」

そんなふうに、経験の意味は後から変わることがあります。

だから私は、経験をすぐに

「役に立った」

「役に立たなかった」

と決めなくてもいいと思っています。

ただし、経験は積み重ねただけで、自動的に価値になるわけではありません。

ときどき振り返って、

「自分は何を身につけてきたのか」

「この経験と、あの経験はどうつながっているのか」

と考えることも必要です。

そうすると、ばらばらに見えていた経験の中から、

自分なりの強みや仕事の軸が見えてくることがあります。

積み重ねることで経験が増える。

振り返ることで、その経験の意味が見えてくる。

そして、また次の経験へ持っていく。

この循環によって、経験は少しずつ自分の力になっていくのだと思います。

そうした「積み重ねてきた経験をどう振り返り、自分の強みとして見つけるか」については、

以下の記事でも詳しく書いています。

これまで積み重ねてきたものは何か。

一度振り返ってみると、自分では気づいていなかった価値が見えてくるかもしれません。

まとめ|未来は、積み重ねの先にある

人生は、突然できあがるものではありません。

現場で学んだことが、次の仕事につながる。

そこで身につけたことが、また別の場所で生きる。

振り返ると、一つひとつの経験は、ばらばらではありませんでした。

人生の積み重ねとは、

これまで身につけたものを土台にして、その上へ次の経験を重ねていくこと。

なのだと思います。

だから、今日の一歩が小さくてもかまいません。

一つ学ぶ。

一つ考える。

一つ試す。

一つ振り返る。

その一歩が、すぐに大きな成果につながらなくてもいい。

あとになって、別の経験と結びつくことがあります。

だから毎日、一歩だけ前へ。

その積み重ねの先に、未来があるのだと思います。

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