同じメンバーなのに、
あるプロジェクトではうまくいき、
あるプロジェクトでは噛み合わない。
その違いは、能力ではなく
「タイプの組み合わせ」にあることがあります。
私はBPRプロジェクトで、
メンバーの思考タイプを整理したことがあります。
すると偶然にも、
チーム全体が“4象限をすべて埋める構成”になっていました。
そのプロジェクトは、
私が経験した中でも最も成果を出しています。
この記事では、
AIを使って「人間のタイプ」を整理する方法と、
チームや自分理解への活用法を紹介します。
【この記事でわかること】
AIを使って人間の思考タイプを整理し、チームや自己理解に活かす方法
人間を4つに分けるモデルはなぜ面白いのか

人間は複雑です。
それでも、あえて「4つ」に分ける。
この単純化が、意外なほど役に立ちます。
たとえば、Herrmann Internationalが提唱したハーマンモデルでは、
思考の傾向を4象限で整理します。
- A:分析型(論理・数値・事実)
- B:管理型(手順・計画・秩序)
- C:対人型(感情・共感・調整)
- D:創造型(直感・発想・未来志向)
また、行動特性で分類する代表的な理論として、
DISC理論があります。
- D(Dominance):主導型
- I(Influence):影響型
- S(Steadiness):安定型
- C(Conscientiousness):慎重型
もちろん、人間はこんなに単純ではありません。
誰もが複数の要素を持っています。
それでも、なぜ「4分類」が面白いのか。
理由はひとつです。
違いが、見えるからです。
違いが見えると、摩擦の意味が変わる
仕事がうまく進まないとき、
私たちは能力や努力の問題にしがちです。
しかし実際には、
- 論理で詰めたい人
- 感情を汲み取りたい人
- 未来を語りたい人
- 手順を固めたい人
が同じ場にいるだけ、ということがあります。
4象限で見ると、
「対立」が「構造」に変わります。
対立は悪ではありません。
むしろ、象限の偏りこそがリスクです。
単純化は、思考の入口になる
知的生活ラボでよく扱うテーマは「構造化」です。
4分類モデルは、
人間理解の“入口”を作ります。
いきなり深層心理を分析するのではなく、
まずは思考の傾向を整理する。
この軽やかさがあるからこそ、
ビジネス現場でも長く使われてきたのでしょう。
そして今は、
この整理をAIで行うことができます。
4分類は、人間理解を構造で捉えるための入り口です。
物事を構造で見る力については、こちらの記事でも詳しく書いています。

ChatGPTでタイプ分析はできるのか?
結論から言えば、できます。
しかも、思っているより簡単です。
特別な診断ツールを使わなくても、
ChatGPTに自分の情報を整理させれば、
4象限的な分析は可能です。
やり方はとてもシンプル
まずは、自分の情報を少しだけ書き出します。
例えば:
- これまでうまくいった仕事
- 周囲からよく言われる評価
- ストレスがかかったときの反応
- 自分がイライラしやすい場面
- 得意だと感じる役割
それをまとめて、こんなプロンプトを投げます。
私の性格や思考傾向を、4象限モデルで整理してください。
強み・弱み・チーム内での役割も含めて分析してください。
これだけで、かなり整理されたアウトプットが返ってきます。
ポイントは「答え」ではなく「問い」
ここで大事なのは、
AIの分析結果を“正解”にしないことです。
重要なのは、
- なぜそう言えるのか?
- 自分はそれをどう感じるか?
- どの象限が強く出ているか?
と、自分の内側に問いを返すことです。
AIは診断士ではありません。
思考を整理する壁打ち相手です。
実は、組織設計にも使える
個人だけではありません。
プロジェクトメンバーの特徴を
(もちろんラベル貼りにならない範囲で)整理すると、
- 直感型が多すぎる
- 管理型が不足している
- 感情調整役がいない
といった“構造の偏り”が見えてきます。
ここで初めて、
「人の問題」が「配置の問題」に変わります。
この視点は、
BPRの現場ではとても重要でした。
BPR現場で起きた「偶然の最適配置」

BPRは、
仕組みを根本から変える仕事です。
だからこそ、
人の相性や能力以上に、
「構成」が結果を左右します。
あるプロジェクトで、
私はメンバーの思考傾向を整理してみたことがあります。
特別な意図があったわけではありません。
単純に、「どういう構造になっているのだろう」と
知りたくなっただけです。
すると、偶然にも——
4象限がほぼ均等に埋まっていました。
役割が自然に分かれていた
振り返ってみると、
- 論理で詰める人が設計を固め
- 手順を整える人が運用を安定させ
- 現場に寄り添う人が摩擦を吸収し
- 発想型の人が改善の芽を出していた
誰かが指示したわけではありません。
自然に、
象限ごとの役割が機能していました。
そしてそのプロジェクトは、
私が経験した中で最も成果を上げました。
チームの強さは「平均値」ではなく「構成」
優秀な人を集めれば、
必ず成果が出るわけではありません。
同じタイプが集まると、
思考は鋭くなりますが、偏ります。
たとえば、
- 論理型ばかりだと、冷たくなる
- 感情型ばかりだと、決断が遅くなる
- 発想型ばかりだと、形にならない
- 管理型ばかりだと、変化が起きない
重要なのは、
強さではなく“配置”です。
チームの力は、
個人の能力の合計ではなく、
象限のバランスで決まります。
摩擦は「問題」ではなく「構造の反応」
象限が違えば、当然ぶつかります。
しかし、その摩擦は
相手の人格の問題ではありません。
思考様式の違いです。
この視点を持てるかどうかで、
リーダーの疲労度は大きく変わります。
私があのプロジェクトで感じたのは、
「偶然の配置が最適だった」という事実以上に、
構造を理解すると、人への見方が変わる
ということでした。
リーダーがどの象限に立つかで、チームの景色は変わる
ちなみに、
当時の私は発想型でした。
ビジョンを語る。
未来を描く。
可能性を提示する。
その役割に立っていました。
しかし、発想だけではプロジェクトは進みません。
そこを、論理型が技術と設計で支え、
感情型が衝突をやわらげ、
管理型がプロセスを確実に前に進める。
振り返ると、
とても美しい構造でした。
発想型リーダーの弱点を、チームが補完する
発想型のリーダーは、
- 話が飛ぶ
- 未来を語りすぎる
- 細部を詰めない
という弱点があります。
しかし、論理型が構造化し、
管理型がスケジュールに落とし込み、
感情型が現場との橋渡しをすれば、
ビジョンは「実装可能な未来」になります。
これは偶然でした。
しかし結果として、
象限が相互補完していた。
良いチームとは「バランスがとれている」こと
良いチームとは、
仲が良いチームではありません。
能力が高いチームでもありません。
役割が補完し合っているチームです。
リーダーが自分のタイプを理解すると、
- 何を語るべきか
- 何を任せるべきか
- どこで止まるべきか
が見えてきます。
AIでタイプを整理する意味は、
ここにあります。
チームの強さは、個人の能力ではなく構成で決まります。
リーダーの立ち位置については、こちらの記事でも触れています。

AIは「診断ツール」ではなく「思考整理ツール」

タイプ分類は面白い。
しかし同時に、
少し危うさも持っています。
「あなたは発想型ですね」
「彼は論理型だから仕方ない」
こうしたラベルは、
便利であると同時に、思考停止にもなります。
ラベルは理解を助けるが、固定すると危険
4分類はあくまで“傾向”です。
人間は状況によって変わります。
年齢によっても、役割によっても変わります。
私自身も、
若い頃はより直感的でしたが、
BPRを重ねる中で論理性や管理視点も強まりました。
タイプは固定された性格ではなく、
強く出やすい思考の癖です。
それを忘れると、
人間を単純化しすぎてしまいます。
AIの本当の使い方は「問いを増やすこと」
では、AIは何に使うのか。
答えをもらうためではありません。
問いを増やすためです。
たとえば、
- なぜ私は細部を詰めるのが苦手なのか?
- なぜあの人は慎重すぎるのか?
- なぜ議論がかみ合わないのか?
AIはこれを構造で整理してくれます。
しかし、
「だからあなたはこうだ」と断定はしません。
断定するのは、人間です。
だからこそ、
AIは診断士ではなく、
思考を映す鏡として使う。
理解が進むと、対立は減る
タイプを理解すると、
「なぜそんなことを言うのか?」
という苛立ちが、
「この象限から見ているのか」
に変わります。
これは大きな違いです。
人は、悪意でぶつかることは少ない。
多くは、見ている場所が違うだけです。
AIは、その違いを
静かに可視化してくれる道具です。
タイプは固定された性格ではありません。
ラベルを疑う視点も同時に必要です。

AIタイプ分析の活用法3つ
タイプ分類は、
知識として知っているだけでは意味がありません。
使って初めて、価値が出ます。
ここでは、私自身の経験も踏まえて
実践的な活用法を3つ紹介します。
① 自己理解に使う ― 強みと盲点を知る
まずは、自分です。
AIにタイプ整理をさせると、
思考の癖が浮かび上がります。
たとえば、私の場合は発想型が強い。
それは、
- ビジョンを描ける
- 可能性を広げられる
という強みになります。
しかし同時に、
- 話が飛ぶ
- 細部が甘くなる
- 管理を後回しにする
という弱点もあります。
ここで大事なのは、
「直す」よりも「知る」ことです。
弱点を消すより、
補完する方法を考えるほうが合理的です。
② チーム設計に使う ― 偏りを可視化する
次に、チームです。
プロジェクトがうまくいかないとき、
原因は能力ではなく“偏り”かもしれません。
- 発想型ばかりで現実化できない
- 管理型ばかりで動きが重い
- 感情型が不足して摩擦が増える
- 論理型が足りず曖昧になる
AIにメンバーの傾向を整理させると、
構造の歪みが見えてきます。
ここで初めて、
「誰を変えるか」ではなく
「どう配置するか」という視点になります。
これは、BPRの現場では非常に重要な視点でした。
③ 衝突の分析に使う ― 摩擦を構造で見る
最も実用的なのは、ここです。
対立が起きたとき、
感情で処理すると疲弊します。
しかしタイプ視点で見ると、
- 発想型が未来を語り
- 管理型がリスクを気にし
- 論理型が整合性を求め
- 感情型が空気を気にする
という“自然な反応”だったとわかります。
摩擦は問題ではありません。
象限の反応です。
この視点を持てると、
リーダーの消耗はかなり減ります。
補足|AIは最終判断をしない
最後にひとつ。
AIの分析は、あくまで仮説です。
最終的に判断するのは、
あなた自身です。
タイプを決めるのではなく、
タイプを使って考える。
ここに知的な使い方があります。
1分ワーク|あなたのチームは何象限で動いていますか?
少しだけ立ち止まってみましょう。
紙でも、メモでも構いません。
次の4つを書き出してみてください。
- 論理で詰める人はいるか?
- 手順を整える人はいるか?
- 感情を調整する人はいるか?
- 発想を広げる人はいるか?
あなたのチームは、どの象限が強いでしょうか。
そして、どこが弱いでしょうか。
最近うまく進まないテーマがあるなら、
それは能力の問題ではなく、
構成の偏りかもしれません。
そしてもう一つ。
あなた自身は、どの象限に立っていますか。
強みを押し出しているのか。
不足を補おうとしているのか。
それとも、誰かに任せられているのか。
タイプを知ることは、
人を決めることではありません。
配置を考えることです。
AIは、人を決めつけるためではなく、思考を整理するために使う。
AIを使った内省については、こちらも参考になります。

まとめ|タイプを「決める」ためではなく、「理解する」ために使う
人間を4つに分ける。
それは単純化です。
しかし、その単純化があるからこそ、構造が見えます。
BPRの現場で私が実感したのは、
優秀さよりも「構成」の重要性でした。
発想型がビジョンを描き、
論理型が設計で支え、
感情型が橋渡しをし、
管理型が着実に進める。
タイプは、優劣ではありません。
役割の違いです。
そしてAIは、
人を決めつけるための道具ではなく、
違いを整理するための思考補助ツールです。
ラベルを貼るのではなく、
構造を理解する。
それだけで、
人との関わり方は少し穏やかになります。
行動の一言
今日、ChatGPTに
「自分の思考タイプを4象限で整理してください」と聞いてみてください。
その答えを、
正解にするのではなく、
問いのきっかけにしてみましょう。
そこから、人間理解は静かに深まっていきます。

