同じような場面で、
なぜか、いつも似た判断をしている。
そんな感覚はないでしょうか。
仕事でも、生活でも、
迷うポイントがいつも似ていると感じることがあります。
しっかり考えているつもりなのに、
選択肢はあまり動かない。
結論も、大きくは変わらない。
それは、
考え方が固いからでも、
思考力が足りないからでもありません。
多くの場合、
私たちは気づかないうちに、
**いくつかの「前提」**の上で考えています。
時間は足りないもの。
成果は数字で測るもの。
ちゃんと考えてから動くべきもの。
こうした前提は、
意見や主張というより、
考え始める前の前置きのようなものです。
今回の記事では、
その前提を疑ったり、壊したりはしません。
ただ、
今の自分が、何を当たり前だと思っているか
を、静かに言葉にしてみます。
AIを使って、
答えを出すためではなく、
前提に名前をつけるために。
それだけで、
思考に、少し余白が生まれます。
ー この記事でわかること ー
AIを使って「今の自分が当たり前だと思っている前提」を可視化し、
考え方を変えずに思考の余白をつくる方法
私たちは、無意識の前提の上で考えている

私たちは、何かを考えるとき、
まっさらな状態から思考を始めているわけではありません。
気づかないうちに、
いくつかの「当たり前」を
最初から持ち込んでいます。
それは、
意見や主張のように
はっきりした形をしていません。
むしろ、
考え始める前に置かれている前置き
のようなものです。
前提は「考えの土台」
前提とは、
「こう考えるべきだ」というルールではなく、
「たぶん、こうだろう」という仮の土台です。
たとえば、
- 時間はいつも足りないもの
- 失敗は避けるべきもの
- ちゃんと考えてから動くべきもの
こうした前提は、
正しいかどうかを判断される前に、
思考のスタート地点として
静かに置かれています。
そのため、
前提そのものを意識しないままでも、
考えること自体は成立してしまいます。
前提は「見えないまま機能する」
前提が厄介なのは、
それがうまく機能している間は、
存在を意識する必要がないことです。
地面があることを
普段は意識しないのと同じで、
前提もまた、
思考を支えている限り
見えないまま働き続けます。
だから、
「しっかり考えているのに、結論があまり動かない」
という状態が起きます。
思考が止まっているのではなく、
同じ土台の上で、丁寧に考え続けている
だけなのです。
前提に気づくことは、考えを否定することではない
ここで大切なのは、
前提に気づくことが、
自分の考えを否定することではない
という点です。
前提は、
変えるために見つけるものではありません。
壊すために、疑うものでもありません。
まずは、
「今は、この前提の上で考えているんだな」
と、言葉にしてみる。
それだけで、
思考は少しだけ、自由になります。
前提は、自分では気づきにくい
前提がやっかいなのは、
それが無意識のまま、思考を支えている点にあります。
考えている最中、
私たちは結論や選択肢には意識を向けますが、
その下にある土台までは、
なかなか目が向きません。
前提は「疑われないまま使われる」
前提は、
「本当にそうだろうか?」と
問い直されることがほとんどありません。
なぜなら、
それが間違っているとは
特に感じないからです。
- いつも忙しい
- 失敗は避けたい
- 準備してから動くほうが安全
こうした前提は、
疑う理由がない限り、
そのまま使われ続けます。
結果として、
思考は止まっていないのに、
判断の幅だけが狭くなる
という状態が起きます。
考えが詰まるとき、前提は表に出てくる
前提は普段、
表に出てきません。
ただ、ある場面では
輪郭を持ち始めます。
- 同じところで迷い続けているとき
- 何度考えても結論が動かないとき
- 理由はあるのに、納得感が薄いとき
こうしたとき、
問題は「考え方」ではなく、
前提が固定されたまま
考えていることにあります。
言葉や判断に、前提はにじみ出る
前提は見えませんが、
まったく痕跡を残さないわけではありません。
それは、
- どの選択肢を最初に切り捨てたか
- 何を「無理だ」と感じたか
- どこで考えるのをやめたか
といった、
判断の跡ににじみ出ます。
前回の記事で扱った
「口癖」が表層だとすれば、
前提は、
その少し下にある層です。
だから、
いきなり深く掘る必要はありません。
まずは、
「ありそうな前提」を
そっと言葉にするだけで十分です。
前提よりも、もう少し手前の「表に出ている言葉」から見てみたい場合は、こちらの記事で扱っています。

AIは「前提の候補」を挙げるのが得意

AIを使うと聞くと、
つい「正解」や「改善案」を
期待してしまいがちです。
でも、今回の使い方は、
その逆です。
答えを出させない使い方をする
ここでAIに求めるのは、
判断でも、分析でも、結論でもありません。
お願いするのは、
「ありそうな前提を、仮説として挙げること」
それだけです。
前提は、
正しいかどうかを決める前に、
「こう考えていたかもしれない」と
名前をつけられるだけで、
十分な役割を果たします。
AIは「距離のある視点」をつくれる
自分の考えを自分で眺めると、
どうしても
納得・反省・正当化が混ざります。
AIには、
そのどれもありません。
感情も、
過去の記憶も、
守りたい立場もない。
だからこそ、
少し距離のある視点で、
「前提の候補」を並べることができます。
それは、
答えを当てるためではなく、
視野を一段、広げるための作業です。
「候補」であることが大切
ここで挙がってくる前提は、
どれも確定させる必要はありません。
- しっくりこないもの
- 今は違うと感じるもの
- 少し昔の自分には当てはまっていたもの
それらが混ざっていても、問題ありません。
前提は、
正解かどうかよりも、
言葉にできたかどうか
のほうが重要だからです。
AIは「鏡」として使う
この使い方では、
AIはアドバイザーではありません。
もっと近いのは、
鏡です。
自分の判断や迷いを映し、
そこに写っている
前提らしきものを
静かに並べてくれる存在。
どう受け取るか、
どれを採用するかは、
すべて自分に残したまま。
それが、
今回のAIとの距離感です。
実践:AIで「自分の前提」を拾ってみる
ここからは、
実際にAIを使って
「今の自分が前提にしていること」を
そっと拾ってみます。
時間は、5分程度で十分です。
最近の「判断」や「迷い」を書き出す
まずは、
最近あった出来事の中から、
判断や迷いが伴ったものを
3〜5個だけ挙げます。
たとえば、
- やろうか迷って、見送ったこと
- すぐに決められなかった選択
- 「これは無理だ」と感じた場面
文章にする必要はありません。
箇条書きで十分です。
たとえば、
「今は余裕がないから、後回しにしたほうがいい」
という前提が挙がることもあります。
AIへの指示は、仮説として聞く
書き出したら、
AIには次のように伝えます。
これらの判断や迷いの背景にありそうな
前提を、仮説として挙げてください。
正しさの判断や、改善の提案は不要です。
ポイントは、
「仮説として」
と明示することです。
これだけで、
AIは結論を出そうとせず、
候補を並べるモードに切り替わります。
出てきた前提は、選ばなくていい
AIが挙げた前提を見て、
やることは一つだけです。
- しっくりくる
- 少し違和感がある
- 今は当てはまらない
どれでも構いません。
正解を選ぶ必要はありません。
むしろ、
選ばないまま眺める
くらいが、ちょうどいい。
前提は、
採用するものではなく、
存在に気づくものだからです。
前提に名前がつくと、思考が緩む
前提に言葉がつくと、
不思議と
思考の緊張が少し緩みます。
「自分は、こう考えていたのかもしれない」
そう思えるだけで、
判断を急がなくてよくなる。
この段階では、
行動を変える必要も、
結論を出す必要もありません。
ただ、
余白が生まれた感覚
それだけで、十分です。
前提は「変える対象」ではない

前提に気づくと、
つい「直したほうがいいのでは」と
考えてしまうかもしれません。
でも、今回の目的は、
前提を変えることではありません。
前提は、今の自分を支えているもの
前提は、
思考を縛るものというより、
今の自分を支えてきた土台です。
- これまでうまくやってきた
- 大きな失敗を避けられた
- 無理をしすぎずに済んだ
そうした背景があって、
前提は自然に形づくられます。
だから、
見つけた前提を
否定する必要はありません。
前提に気づくと「選ばない自由」が生まれる
前提に名前がつくと、
思考の中で
一つの選択肢になります。
「絶対にそうだ」ではなく、
「今は、そう思っている」
という距離が生まれる。
その距離があるだけで、
判断を急がなくてよくなり、
考え続けることも、
一度止めておくことも
選べるようになります。
それが、
思考の余白です。
疑うのは、余裕があるときでいい
前提を疑う力は、
確かに大切です。
ただし、
それは余裕があるときの道具。
余裕がないときは、
疑うよりも、
「今はこういう前提で考えている」と
把握するだけで十分です。
もし、前提そのものを揺らしたり、別の視点から考え直したいと感じたら、こちらの記事で詳しく扱っています。

まとめ(結論)
考え方を変えなくてもいい。
前提を壊さなくてもいい。
今の自分が、
何を当たり前だと思っているか。
それを一度、
言葉にしてみるだけで、
思考は少し、自由になります。
AIは、
答えを出すための存在ではなく、
前提に名前をつけるための道具。
それくらいの距離感が、
ちょうどいい。
行動の一言
最近迷ったことを一つだけ思い出し、
「その判断の前提は何だったか」を
AIに仮説として聞いてみる。
正解はいらない。
気づきが一つあれば、十分です。
前提に気づいたあと、もう少し静かに振り返りたい人には、AIを使った日記の書き方も参考になります。


