デジタルで読む時間、増えましたよね。
気づけば、スマホで“流し読み”ばかり。
便利だけど、何となく「思考が浅くなっている気がする…」
そんな不安を抱いたことはありませんか?
一方で、紙の本を読むと、なぜか深く考えられる。
メアリアン・ウルフの『デジタルで読む脳 × 紙の本で読む脳』を読んで、
「この違いには理由がある」と腑に落ちました。
これからは、
“どちらの読み方も使い分けられる大人” が強い。
この記事では、
「デジタルの脳」「紙の脳」
そして その両方を育てる“バイリテラシー脳” について、
あなたの知的生活に役立つ形で紹介します。
日々の好奇心を育てる方法は、こちらの記事でも詳しく紹介しています。

デジタル読書の脳は「速いけど、浅くなる」

デジタルで読むと、どうしても“スピード優先”になります。
スクロールしながら、必要な情報だけをすくい取る――
この読み方は便利ですが、脳の働きを“浅いモード”に切り替えてしまいます。
スマホやPCでの読書が増えると、脳は次第に
- 早く
- 多く
- 広く
処理する“高速道路モード”に偏っていきます。
もちろん、このモード自体は悪いわけではありません。
ただし、問題は「ずっと高速モードのまま」だと、
深く考える回路が使われなくなってしまうことなんですね。
スクロール中心の読み方は“受け身”になる
スマホの画面上では、情報は常に流れていきます。
私たちの目はその流れに合わせて動くだけで、
内容を立ち止まって味わう時間がなくなりがちです。
その結果、読んだはずなのに
「何となくしか覚えていない…」
という状態が起きやすくなります。
注意を奪われるたびに、思考が浅くなる
通知、リンク、広告、別タブ。
デジタル環境は“気が散る要因”が多い世界です。
集中が中断されると、
私たちの脳は深い理解に必要な「読解の持久力」を失っていきます。
デジタル情報の扱い方については、関連記事「信頼できる知識の選び方3選」で詳しく解説しています。

紙の本で読む脳は「ゆっくりだが、深く考える」
紙の本を開くと、デジタルとは明らかに“空気”が変わります。
ページをめくり、文字を追い、途中で立ち止まる――。
この一連の動作が、脳を “深いモード” にゆっくり切り替えてくれるのです。
スピードではなく、
「理解すること」「考えること」 が中心になる読み方。
これが、紙の読書が持つ強さです。
“思考のための沈黙”が生まれる
紙には、通知もリンクもありません。
ただ「自分と文字だけ」が静かに存在する世界。
この静けさが、
内容をじっくり味わい、
自分の中で意味づけるための “思考の余白” をつくります。
読みながらうなずいたり、途中で考え込んだり――
こうした“間”こそが、深い思考を育てる大事な時間です。
手触りやページ構造が記憶を助ける
紙の本を読むと、印象に残ったページを自然と覚えていませんか?
- 本の厚み
- ページの位置
- 触れる感覚
- 書き込みや折り目
こうした“身体の記憶”が、脳の理解と定着をサポートしてくれます。
内容が思考に残りやすいのは、
こうした身体的な読書体験があるからなんですね。
紙で深く読む時間をつくるコツは、朝の読書習慣の記事でも紹介しています。

これから必要なのは「バイリテラシー脳」

デジタルが悪いわけでも、紙の本が優れているわけでもありません。
むしろ現代の私たちが直面している課題は、
“読み方の偏りによって、思考が平面的になってしまうこと” です。
メアリアン・ウルフが指摘するように、
デジタル環境はスピード重視の“高速処理モード”を育てます。
一方、紙で読む体験は“熟考モード”を鍛えてくれる。
そして今、求められているのは
どちらの脳の回路も状況によって切り替えられる能力=バイリテラシー脳。
これは、単に“両方で読める”という話ではありません。
- 情報を拾うときは速く軽やかに
- 深く理解したいときはゆっくり丁寧に
- 必要に応じて書き、まとめ、再構築する
といった “読解の戦略” を自分で持てるかどうか。
つまり、
「読むこと」そのものをデザインできる人が、これからの知的社会で強くなる のです。
デジタルは「速く広く」情報の地図をつくる
デジタルは、かつてない速度で世界を広げてくれます。
- いま何が起きているか
- どんな情報が必要か
- どのテーマを深めればいいか
必要な情報に最短距離でアクセスできるのが、デジタルの圧倒的な強みです。
まずはここで “地図をつくる”。
知の全体像をつかむ段階では、デジタルほど便利なものはありません。
紙は「深くゆっくり」知識を“自分のもの”に変える
ただし、理解を深めたいときは紙の本に勝ち目があります。
- 行間に立ち止まる
- 余白で考える
- 自分の価値観と照らし合わせる
こうした動作が、知識を自分の血肉へと変えていきます。
紙の読書は、情報を“一次体験のレベル”にまで引き上げてくれるのです。
行き来することで、知識が立体化し“思考の筋肉”が育つ
デジタルで広げ、紙で深める。
この往復を繰り返すと、理解の深さが一段上がります。
さらに、読んだ内容を
- デジタルメモで整理し
- AIで問いを立て
- 自分の考えを再構築する
このプロセスに入ると、
知識は“点”ではなく“面”になり、
やがてあなた独自の“知の地図”が生まれてきます。
深く考える力を高めたい方は、「メタ認知トレーニング」の記事も参考になります。

バイリテラシー脳を鍛える“読み方ルール”(実践例つき)
バイリテラシー脳は、生まれつきの能力ではありません。
「読み方の順番」と「使い分け」を意識するだけで、誰でも鍛えられます。
ここでは、私自身が日々実践している方法も交えながら、
忙しい大人でも続けられる3つの読み方ルール を紹介します。
① デジタルでは“キーワードだけ”を拾う読み方にする
デジタルは便利ですが、深く読むには向きません。
だからこそ私は、デジタルを “キーワード収集専用” と割り切っています。
- どんな概念が話題になっているか
- 世界・業界の流れはどこに向かっているか
- 何が「いま大事なテーマ」なのか
文章をすべて読む必要はありません。
キーワードの変化を見るだけで、世の中の動向は十分つかめます。
デジタルは「広く速く、地図をつかむ」。
これが最も効率的な使い方だと感じています。
② 紙は“深く読むための場”として扱う
深く考えたい本は、必ず紙で読みます。
紙の本だと、自然とページの途中で考え込み、
「これってどういう意味だろう?」と立ち止まる時間が生まれます。
その“間”が、思考を深くしてくれるのです。
私は紙で読んだときに、
- 心が動いた一文
- 解釈したい概念
- 行動に移したいポイント
があれば、その場で ジャーナルノートに書き込んでいます。
書くことで、読む → 考える → 言語化 の三段階が自然と生まれ、
理解が深く定着します。
③ AIは“思考の相棒”として使う
紙で深く読んだ後は、AIに投げて対話します。
AIと会話すると、自分だけでは気づけない角度の質問や補足が返ってきます。
- 「この本の主張を別の視点で説明すると?」
- 「私の今の課題と接続するとどうなる?」
- 「反対意見はどんなものがある?」
AIは“視点を増やしてくれる存在”です。
自分の思考だけで閉じてしまわないために、AIとの対話は欠かせません。
④ デジタル → 紙 → AI の“知的循環”をつくる
実践の流れはシンプルです。
- デジタル:キーワードを拾って世界を俯瞰
- 紙の本:気になるテーマを深く読む
- ジャーナル:気づきをメモして言語化
- AI:視点を広げ、思考を整理する
この“知的循環”が回り始めると、
情報はただの刺激ではなく、
「行動につながる知識」に変わっていきます。
バイリテラシー脳とは、
デジタルと紙、そしてAIを組み合わせた新しい読書法なのです。
読書を生活に定着させる「知的な循環習慣」についても、こちらの記事で紹介しています。

◆まとめ|読み方を変えると、思考はもっと深くなる
デジタルも紙の本も、それぞれ長所があります。
ただし大切なのは、どちらが正しいのかではなく、
「目的に応じて自分で読み方を選べること」 です。
デジタルで世界の動きをつかみ、
紙の本で深く考え、
ジャーナルに書いて理解を定着させ、
AIと対話して視点を広げる。
この流れができると、
情報は“消えていくもの”から、
あなたの思考を育てる“知的資産”へと変わります。
読書は、インプットではなく「思考の技術」。
そしてその技術は、年齢に関係なく磨き続けられます。
今日一つ、
デジタルで気になるキーワードを拾い、
そのテーマに関する紙の本を数ページだけ読んでみてください。
そして心に残った一行を、ジャーナルかメモに書き留める。
その“小さな循環”が、あなたのバイリテラシー脳を確実に育ててくれます。
AIとの付き合い方を深めたい方は、「AIと暮らし」カテゴリーの記事もどうぞ。


