同じ出来事なのに、
人によって見え方がまったく違う。
そんな経験はないでしょうか。
判断が止まるとき、
悩みが堂々巡りするとき、
原因は「情報不足」ではなく、
視点の固定であることが多い。
この記事では、
AIを使って視点をずらし、
考えを広げるための
視点トレーニングを紹介します。
ー この記事でわかること ー
AIを使って、同じ出来事を複数の視点から考えるトレーニング法
AIを使って考える力を鍛えるという発想は、
まず「答えを任せない使い方」を知っておくと理解しやすくなります。

考えが行き詰まるのは「視点が固定されているから」

人は無意識に、ひとつの視点に立ち続けている
人は考えているつもりでも、
実際には「同じ場所」から
何度も景色を眺めていることがあります。
- 自分の立場
- そのときの感情
- 過去の経験
これらは、
視点を決める強い要素です。
一度そこに立つと、
無意識のうちに、
別の位置に動かなくなります。
情報が増えても、考えが進まない理由
「もっと情報があれば判断できる」
そう思って、調べ続けることもあります。
けれど、
情報が増えても苦しくなるだけで、
考えが軽くならないことも多い。
その理由はシンプルです。
見ている角度が変わっていない。
事実は増えても、
意味づけが変わらなければ、
結論は堂々巡りになります。
悩みの正体は「情報不足」ではないことが多い
判断が止まるとき、
悩みが長引くとき。
その正体は、
「知らないこと」ではなく、
「見方が固定されていること」
である場合が少なくありません。
視点がひとつしかないと、
選択肢もひとつに見えます。
逆に言えば、
視点が増えれば、
同じ出来事でも、
違う意味が立ち上がってきます。
だから「視点」を動かすトレーニングが必要になる
考える力とは、
答えをひねり出す力ではなく、
見る位置を動かす力でもあります。
次の章では、
視点を変えることで
考えがどう変わるのかを整理した上で、
AIを使った視点トレーニングに入っていきます。
AIは、発想だけでなく
日常を短く要約する実用ツールとしても使えます。

視点を変えると、同じ出来事が違って見える
視点とは「立つ位置」を変えること
視点を変えるというと、
考え方を変えることだと思われがちです。
でも、ここで言う視点は、
考えを変えることではありません。
立つ位置を変えること。
同じ景色でも、
立つ場所が変われば、
見えるものは変わります。
正解を探すのではなく、見る角度を増やす
視点トレーニングの目的は、
正解を見つけることではありません。
- 楽観か、悲観か
- 賛成か、反対か
そうした二択から離れて、
見る角度を増やすことが目的です。
角度が増えるほど、
思考は自然に広がります。
視点が増えると、判断が軽くなる
視点がひとつしかないとき、
判断は重くなります。
なぜなら、
その視点が「正しいかどうか」を
一人で背負ってしまうからです。
視点が増えると、
考えは分散されます。
- いまの視点は、この位置
- 別の位置から見ると、こう見える
その結果、
判断は「当てるもの」から
選ぶものに変わります。
答えが出ていなくても、前に進める理由
視点トレーニングの面白いところは、
答えが出ていなくても、
考えが前に進むことです。
視点が変わるだけで、
問題の輪郭が変わる。
輪郭が変わると、
次に考えるべき点が見えてきます。
次の章では、
この視点の切り替えを
AIでどう行うかを具体的に見ていきます。
AIは「視点を増やす装置」として使う

答えを出させないのが前提
視点トレーニングで大切なのは、
AIに結論を出させないことです。
答えを出させてしまうと、
思考はそこで止まります。
AIに任せるのは、
判断ではなく、視点の提示。
考えるのは自分。
AIは、見る位置を変えるための装置です。
AIは「自分では立たない場所」に立てる
人は無意識のうちに、
いつも同じ立場に立っています。
- 自分の役割
- 今の感情
- これまでの経験
そこから離れるのは、
意外と難しい。
AIは、
そうした制約を持ちません。
だからこそ、
自分では立たない場所から
景色を見せてくれます。
視点トレーニングの基本的な依頼
難しい指示は必要ありません。
大切なのは、
「視点だけを出してほしい」と伝えること。
たとえば、こんな依頼です。
- 「別の立場なら、どう見えますか」
- 「感情を除いた視点で整理してください」
- 「10年後の自分なら、どう捉えますか」
ここでも、
答えや結論は求めません。
返ってくるのは、
見る位置の候補です。
視点は、採用しなくていい
提示された視点を、
すべて受け入れる必要はありません。
- しっくりこない
- 今の自分には遠い
- まだ見なくていい
そう感じても問題ありません。
大事なのは、
視点が存在することに気づくこと。
見る位置が複数あると分かるだけで、
思考は少し自由になります。
考える筋肉・厳しめのコーチの記事とのつながり
ここでやっていることは、
前々回の記事「考える筋肉」で扱った
「答えを任せない使い方」と同じです。
また、
前回の記事「厳しめのコーチ」で行った
「突っ込み」も、
視点をずらす一種と言えます。
今回の記事は、
その2つを
もっと軽く、広く使うためのトレーニングです。
視点をずらすだけでなく、
思考そのものに突っ込みを入れたい場合は、
AIを「厳しめのコーチ」として使う方法もあります。

視点トレーニング|具体例
ここからは、
実際によくある場面で
視点をどうずらすかを見ていきます。
共通ルールはひとつだけです。
答えは出さない。
視点だけを並べる。
ケース①:迷っているとき
選択肢はある。
でも、どれも決めきれない。
そんなときは、
視点を3つだけ並べます。
- 楽観視点
今の選択がうまくいった場合、何が起きるか - 悲観視点
うまくいかなかった場合、何が問題になるか - 第三者視点
当事者ではない人は、どこを見るか
AIに頼むのは、
「どれが正しいか」ではありません。
それぞれ、どう見えるか。
視点を並べるだけで、
迷いは整理され始めます。
ケース②:感情が強く出ているとき
怒り、不安、焦り。
感情が強いときほど、
視点は狭くなります。
そんなときは、
あえてこう頼みます。
- 「感情を除いた事実だけの視点で整理してください」
- 「相手側の立場から、どう見えるか教えてください」
すると、
出来事の温度が下がります。
感情が消えるわけではありません。
ただ、
感情と事実が分かれる。
それだけで、
次に考える余地が生まれます。
ケース③:将来が不安なとき
将来の不安は、
今の視点だけで未来を見ているときに
強くなります。
そんなときは、
時間の視点を動かします。
- 1年後の自分なら、どう捉えるか
- 10年後の自分なら、どこを気にするか
AIに未来の判断をさせる必要はありません。
「どこを見ているか」
それだけを確認します。
今は大きく見える問題が、
別の時間軸では
小さく見えることもあります。
ケース④:自分の考えに自信があるとき
自信があるときほど、
視点は固定されがちです。
そんなときこそ、
次の視点が効きます。
- 「この考えが通用しない場面はどこか」
- 「別の立場の人は、何を見落としていると感じるか」
これは、
考えを否定するための視点ではありません。
考えの可動域を広げるための視点です。
視点は「並べる」だけでいい
ここで大切なのは、
どの視点を採用するかを
決めなくていい、ということです。
- 眺める
- 引っかかる
- 少し考える
それだけで、
視点トレーニングは成立します。
視点を並べること自体が、
思考を動かしています。
視点を切り替えるとき、
無意識に「どこを見ているか」という構造も変わっています。

視点を「トレーニング」にするコツ

すべての視点を使わなくていい
視点トレーニングというと、
「たくさんの視点を集めなければ」と
思ってしまうかもしれません。
でも、
全部を使う必要はありません。
- しっくりくるもの
- 少し引っかかるもの
- 今は受け取れないもの
それらが並んでいること自体が大事です。
視点は、
正解を選ぶための材料ではなく、
考えを動かすための刺激です。
効いた視点を「一言」で残す
視点トレーニングで、
ひとつだけやっておくといいことがあります。
効いた視点を、一言だけ残す。
- 「今は当事者視点しかなかった」
- 「未来視点で見ると、少し軽くなった」
- 「感情が判断を引っ張っていた」
長いメモはいりません。
一言で十分です。
次に似た場面が来たとき、
その一言が、
視点を動かす合図になります。
視点は、あとから効いてくる
視点トレーニングの効果は、
その場で劇的に出るものではありません。
少し時間が経ってから、
ふと、こう思うことがあります。
「これは、前にも別の見方があったな」
「今の視点だけで決めなくていいな」
その瞬間、
思考はひとつ自由になっています。
視点は、
あとから、静かに効いてくるものです。
考える筋肉・厳しめのコーチの記事との共通点
ここまで見てきた視点トレーニングは、
- 前々回の記事「考える筋肉」での
答えを任せない使い方 - 前回の記事「厳しめのコーチ」での
突っ込みを入れる使い方
と、同じ流れの中にあります。
違うのは、負荷の強さだけ。
今回の記事は、
いちばん軽く、日常で使える形です。
視点トレーニングで得た気づきは、
内省として残しておくと、次に活きてきます。

1分ワーク|今日の出来事を、3つの視点で見る
今から1分だけ、
今日の出来事を使って
視点トレーニングをしてみましょう。
準備はいりません。
STEP1|今日の出来事を1つ選ぶ(20秒)
大きな悩みでなくて大丈夫です。
- 迷った判断
- 引っかかった会話
- なんとなく気になっている出来事
ひとつだけ、思い浮かべます。
STEP2|AIに「視点だけ」を出してもらう(20秒)
出来事を1行でAIに投げて、
次のように頼みます。
「答えは出さずに、
次の3つの視点でどう見えるか教えてください。
・第三者の視点
・感情を除いた視点
・少し先の未来からの視点」
ここでは、
どれが正しいかは考えません。
STEP3|一番引っかかった視点を1つ選ぶ(20秒)
返ってきた視点の中から、
一番引っかかったものをひとつ選びます。
- 納得した
- 違和感があった
- 少し避けたくなった
理由は考えなくてOKです。
STEP4|一言だけメモする(20秒)
選んだ視点を、
一言だけメモします。
例:
- 「今は当事者視点しかなかった」
- 「未来視点だと、思ったより小さい」
- 「感情が強すぎた」
これでワークは終わりです。
この1分でやっているのは、
答えを出すことではありません。
見る位置を動かすこと。
それだけで、
考えは少し前に進みます。
まとめ|視点が増えると、考えは軽くなる
考えが行き詰まるとき、
足りないのは情報ではなく、
視点であることが多い。
同じ出来事でも、
立つ位置が変われば、
見える景色は変わります。
AIは、
答えを決めてくれる存在ではありません。
代わりに、
見る位置を変える手助けをしてくれます。
視点を並べ、
一度眺める。
それだけで、
思考は少し自由になります。
前々回の記事「考える筋肉」や
前回の記事「厳しめのコーチ」が
思考に負荷をかけるトレーニングだとしたら、
今回の記事「視点トレーニング」は、
日常で使えるストレッチです。
考えを詰める前に、
視点をずらす。
その習慣が、
迷いを軽くし、
判断を楽にしてくれます。
行動の一言
今日は、同じ出来事を
「別の立場」から一度だけ見てみる。
前々回・前回の記事は、以下です



