給料はある。
でも本当に豊かだろうか?
日々の仕事に追われ、気づけば時間がどんどん消えていく。
お金は増えても、心の余裕は増えていない。
そんな感覚、ありませんか?
『お金か人生か』は、そんな私たちに「お金と人生のバランスを取り戻そう」と問いかけてきます。
アメリカで長く読み継がれるロングセラー。
9つのステップで、お金との付き合い方を根本から変える一冊です。
今回はその中から、特に共感した3つのステップ――
「本当の時給」「支出の最適化」「十分という概念」を取り上げて、私自身の体験とともに考えてみたいと思います。
『お金か人生か』9つのステップ全体像

『お金か人生か』では、お金と人生の関係を見直すために、次の9つのステップが提案されています。
- 過去の収入と支出をすべて振り返る
- 毎日の支出を記録する
- 本当の時給を計算する
- 出費を「人生の豊かさ」という基準で評価する
- 支出を最適化する
- 収入・支出・貯蓄をグラフ化する
- 「十分」という概念を持つ
- 投資で経済的独立を目指す
- お金ではなく人生の目的を基準に生きる
9つを通して読むと「お金=人生のエネルギー」というメッセージが浮かび上がります。
すべてを実践するのは簡単ではありませんが、どれもシンプルで、生活に取り入れやすいのが特徴です。
ここから先は、その中でも特に印象に残ったステップを取り上げて、私自身の体験とあわせて考えていきます。
ステップ3「本当の時給」を知る
「自分の時給はいくら?」と聞かれたら、月給を労働時間で割って答える人が多いでしょう。
でも本書で提案されているのは、もっとリアルな“本当の時給”です。
通勤にかかる時間。
仕事のための準備や残業。
ストレス発散のための飲み会や買い物。
これらもすべて「仕事にかかるコスト」と考えるのです。
例えば月給30万円。
労働時間だけで計算すれば、時給は2000円くらいかもしれません。
でも通勤やストレス解消まで入れると、実は1200円しかない…なんてことも。
この計算をしてみると、ちょっとした買い物の見え方が変わります。
「このランチは30分働いたのと同じだな」
「この家電は1週間分の時間を差し出すのか」
お金を“時間=人生のエネルギー”で考える視点が生まれるんです。
私自身、この本を読んだのは会社を辞めてからでした。
だからこそ、会社員時代を振り返りながら「自分は人生のエネルギーを無駄に消費していなかったか」と考えるきっかけになりました。
思えば仕事に追われる日々のなかで、人生の目的をじっくり考える余裕はあまりありませんでした。
でも“本当の時給”という発想に触れたことで、お金のために働くのではなく、自分は何のために生きているのか――そんな根本的な問いに立ち戻ることができたのです。
「本当の時給」を知ることは、単に数字を出す作業ではありません。
自分にとって大事な時間と人生の目的を見直す作業でもあるのです。
お金と人生を交換している、その事実に気づく。
それが、豊かさを取り戻す第一歩になるのだと思います。
現役で働いている今こそ、“本当の時給”を一度計算してみてください。
通勤や残業、ストレス解消の時間まで含めると、新しい気づきがあるはずです。
それを知ったうえで、あなたならどう考えますか?
ステップ5「支出の最適化」で豊かさを取り戻す
節約というと「ガマン」とか「削る」といったイメージがありますよね。
でも本書で語られているのは、そういう窮屈な話ではありません。
支出を“最適化”すること。
つまり、お金を本当に価値のあるものに回すことなんです。
たとえば、毎日なんとなく買っているコーヒー。
ストレス解消のための衝動買い。
見栄のために選んだブランド品。
こうした出費を「人生の豊かさ」という基準で見直すのです。
すると気づきます。
「これは本当に必要だったのか?」
「このお金を別のことに使ったら、もっと満足できたのでは?」
支出のひとつひとつを丁寧に考えるだけで、暮らしの景色は変わってきます。
私自身、会社を辞めてからは、本当に必要なものしか買わなくなりました。
洋服や雑貨は最小限。
無駄な買い物をしなくなった分、心も軽くなりました。
一方で「学び」に関しては積極的にお金を使っています。
たとえば本を買うこと。
AIツールに課金すること。
これらは自分の知的生活を豊かにし、人生を進化させる投資だと思っています。
支出を最適化するとは、ケチケチすることではありません。
自分にとって価値のあるものを見極め、そこにエネルギーを注ぐこと。
逆に言えば、それ以外は大胆に削ってしまっていいのです。
この視点に立つと、お金の使い方はまるで変わります。
無駄を減らすことで生まれた余裕を、本当に大事なものに回す。
その循環が、暮らしをシンプルにし、同時に豊かにもしていくのです。
支出を最適化することは、単なるお金の管理ではありません。
自分の価値観を確認し、人生の質を高める選択でもあります。
「これは私の人生を豊かにしているか?」
そう問いかけながらお金を使うこと。
それが、新しい豊かさの基準をつくる第一歩になるのです。
働いているうちは、どうしても交際費や付き合いの出費が避けられません。
でも“自分を豊かにする出費”と“惰性の出費”を分けてみるだけで、お金の流れは変わります。
そうした視点で見直すとしたら、あなたならどう考えますか?

ステップ7「十分」という概念を持つ
もっと欲しい。もっと持ちたい。
私たちはつい「もっと」を追いかけがちです。
給料が増えたら、さらに上を目指す。
新しいモノを手に入れたら、次の欲望が湧いてくる。
この無限ループに、どれだけのエネルギーを使ってきたでしょうか。
本書が提案するのは、その反対です。
「十分」という感覚を持つこと。
つまり、自分にとって「これで満足」と思える基準をつくることです。
もちろん、必要最低限で我慢しろという話ではありません。
欲望を抑え込むのではなく、「どこまであれば私は十分か」を自分で決めるのです。
そのラインを持つだけで、心はぐっと軽くなります。
私自身、会社を辞めてから「これからの人生で必要のないものは処分しよう」と思い立ち、身の回りを整理しました。
洋服も、書類も、使っていない家電も手放しました。
すると不思議なことに、生活空間がすっきりするだけでなく、心まで軽くなったのです。
そして「本当に必要なもの」だけが残ったことで、自分にとっての“十分”がどこにあるのかが見えてきました。
面白いのは、「十分」を意識すると、不思議と満足感が増すこと。
欲しいものをすべて手に入れなくても、むしろ「ちょうどいい」と感じられる。
結果的に、心も時間も豊かになっていく。
「十分」という概念は、シンプルに暮らすための道具ではなく、人生を楽しむための土台です。
他人と比べるのではなく、自分の軸で「十分」を定義する。
それができたとき、人は“もっと”に追われる生活から解放されるのです。
お金の管理術にとどまらず、人生の満足度を高める考え方。
それが、この「十分」というシンプルだけど奥深いステップだと感じています。
会社員生活のなかでも、“これはもう十分だ”と決めるラインを持つことは大切です。
例えばスーツやカバンを「これ以上は買わない」と決めるだけでも、余計なお金と時間を節約できます。
そのラインを引くとしたら、あなたならどう考えますか?

今日からできる小さな一歩
1週間だけ支出を記録する
まずはシンプルに、1週間だけ支出を書き出してみましょう。
ノートでもスマホでもOK。
大切なのは「これは私の人生を豊かにしたか?」と振り返ることです。
出費をただ記録するだけで、自分のお金の使い方のクセが見えてきます。
“本当の時給”を計算してみる
次に、自分の“本当の時給”を出してみましょう。
収入を労働時間だけで割るのではなく、通勤・準備・ストレス解消まで含めるのがポイント。
その数字を見た瞬間、普段の出費が「時間=人生のエネルギー」と直結していることに気づけます。
不要なものをひとつ処分する
最後に、身の回りを少しだけ整理してみましょう。
洋服でも、本でも、雑貨でも構いません。
「これはこれからの人生に本当に必要か?」と問いかけ、答えがNOなら処分する。
それだけで空間も心も軽くなり、自分にとっての“十分”が見えてきます。
小さな一歩を重ねることで、お金と人生のバランスは少しずつ変わります。
完璧を目指さなくても大丈夫。
「ちょっと試してみよう」くらいの気持ちで始めることが、やがて大きな変化につながるのです。
まとめ
『お金か人生か』は、お金の本というより「生き方の本」でした。
私たちは日々、お金と人生を交換しています。
だからこそ、その交換が本当に納得できるものかどうかを問い直す必要があるのです。
今回紹介した3つのステップ――
「本当の時給」を知ること。
「支出の最適化」を意識すること。
そして「十分」という感覚を持つこと。
これらはどれも、シンプルだけど深い気づきを与えてくれます。
私自身、この本を通じて「人生のエネルギーをどう使うか」を改めて考えるようになりました。
必要のないものを手放し、本当に価値のあるものに集中する。
その選択が、心を軽くし、生活を豊かにしてくれたのです。
お金は大事。
でも、お金以上に大事なのは「どう生きたいか」という問い。
この本は、その問いに向き合うきっかけを与えてくれます。
最後にあなたへ。
あなたにとっての「十分」とは、どんな暮らしでしょうか?
ぜひ一度、自分に問いかけてみてください。



